複雑・ファジー小説

Re: 【夜明けに沈む:更新】カタテマ【短編集】 ( No.25 )
日時: 2015/05/26 23:07
名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: J9PmynZN)

風の吹く街1

昔の話をしよう。
僕が十五歳の誕生日を迎える年に、例の風によってまたひとり連れてこられたんだ。

その前に君たちが知っておくべき街の決まりごとがあるんだろうけど敢えて僕は書かないことにするよ。
この先僕に残された時間はそう長くないんでね。
おっと、言及は禁止だよ。

それより話を戻そうじゃないか!

その時やってきた人は実は今、僕の隣でコクコクと首を揺らして寝てるんだよね。
今彼女とか思ったでしょ。残念、大外れ。
でもちょっと惜しい。
正しくは「親友」だね。
あれから二年が経つけど彼以上に気心の知れた友人は未だ現れてない。
唯一無二ってやつさ。

そんな彼は自分を「スイレン」と名乗った。
スイレンは長身痩躯で清潔感のある少年だった。
特徴は外国で買ったものだという黒縁の眼鏡。その見た目と相まって女子に好かれそうな雰囲気を醸し出していたよ。
彼はこの街にたどり着いて三日後から街でただ一つの学校に通い始めたんだ。
ここで君たちも気になり始めているであろう僕とスイレンの馴れ初めを語っていこうと思う。