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複雑・ファジー小説
- Re: 【風の吹く街:更新】カタテマ【短編集】 ( No.28 )
- 日時: 2015/07/23 22:52
- 名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: J9PmynZN)
屋上に出て目に入ったのは淡く吸い込まれるような碧をした空とそれを覆い隠さんばかりの悪しき雰囲気を纏った巨人。
巨人の鋭い視線の先にいたのはなんとも頼りない僕の姿だった。
「なに?俺に何か用でもある?さっきから目障りなんだけど」
冷たい視線がスコールのように僕を降り注ぐ。正にヘビに睨まれたカエルだよね。
だけど僕がただのカエルのまま終わる訳がない。お察しの通り僕はひねくれ者だからね。
「あるからこうしてついて来たんじゃないか」
僅かにスイレンの眉が引き攣るのが分かって僕は半歩後ずさりした。
だってそうだろう、もし巨人を相手にするのなら立体起動装置でも持ってきてくれなきゃやってられないよ。
兎に角、僕は巨人が手を出してくる前に畳み掛けることにした。
「スイレン君ってさ、天気のいい日にはいつもどこかに出てるよね。それが僕の好奇心に火を付けちゃってさ。どうにも気になってついて来た次第さ」
スイレンはピクリとも動かず僕を睨み続けている。
僕は背中に嫌な汗を掻きながらも続けた。
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