複雑・ファジー小説

Re: カタテマ【短編集】 ( No.3 )
日時: 2015/02/27 00:53
名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: J9PmynZN)

【自由落下】


僕は落ちています。

どこに落ちているかは、わかりません。
落ちる速度は早くもなく遅くもなく、何事もないように落ちています。

そのあいだに景色はどんどん変わっていって、とっくに昔の景色は忘れてしまいました。
昔学校だったところは今ではただの廃墟です。
商店街はシャッター街になって人の流れも感じさせません。
庭の花も枯れてしまいました。
花瓶も植木鉢も、地面に叩きつけられ割れました。
植物には種があるのでそんなに気にしていませんが。

僕はどこまで落ちるんでしょう。
底が見えれば良いのですが、底は見えません。

今、頭から落ちているのですが、もし底が地面ならきっと即死でしょうね。
柔らかいスポンジであってほしいです。プリンでもいいです。

でも、何となく底がなんなのかわかる気もします。
僕の考えだと、僕はきっと底には着きません。
もしこの考えが違っていて、底があるとしても、足場はないです。
これは絶対です。何せ僕がそう思うのですから。

ということで僕は今から頭から落ちるのを止めます。
ひっくり返ったらもうそこに落下なんて事象はありません。
底なんてものの必要性もなくなります。

以上、僕以外の誰かの未来であり過去である話でした。
ご清聴ありがとうございました。