複雑・ファジー小説
- Re: RAVIStar-Midnight Invitation- ( No.3 )
- 日時: 2015/02/15 10:49
- 名前: 深海 (ID: nWEjYf1F)
そうして僕は、日傘を片手に歩く玲さんと帰路についた。
しかし——
「……」
「……」
その道中は、静寂に包まれている。
色々話をしようかと思いきや実は、話題は僕から振らなければ、全て数秒も続かずに終わっていた。
その所為か、話題はとっくの昔に底を尽きてしまい、対価として得れたものは只ひとつ。
玲さんは、お淑やかな寡黙少女である。これが分かっただけだ。
お陰で普段は何とも思わない蝉の大合唱も、この時ばかりは喧しいと思った。
ただ彼女は、無愛想というわけではない。
呼べば返事をしてくれる。話も聞いてもらえるし、相槌を打ったり、くすくすと小さく笑ったりもする。
単に、彼女の方から話題が切り出されることはない。それだけなのだ。
——考えれば考えるほど不思議な人物である。天音の性格なら、確かにこの人とは相性がよさそうだ。
高校生とは思えない落ち着きぶりが、何故かこっちの心まで落ち着かせてくれる。
因みにこの人、容姿もかなり端麗に仕上がっている。
流水を思わせるシルバーブロンドの長髪、色素の薄い水色の瞳、男性の理想を1つに具現化したようなバランスのいい体型と、美人という言葉ではとても足りない顔立ちに、触れたら崩れてしまう角砂糖みたいな肌。
おまけに立ち振る舞いや服装、雰囲気。それらは宛ら、避暑地に訪れた貴婦人である。
「ふふっ、どうかしましたか?」
「ぇ?」
気付けば僕は、玲さんの事を凝視していた。
慌てて視線を逸らす。
「そんなに見つめられると、流石に恥ずかしいです」
「ご、ごめんなさい……」
——ここで僕はもう1つ、彼女について分かった。
この人は多分、人をからかうのが好きだろう。それもかなりのサディスト方向で。
証左に、この人は口では恥ずかしいとか何とか言っているけど、目も口も明らかに笑っているし、恥じらいも見られない。
ある意味食えない人物だ。
何というかこの人は、敵に回した場合に一番厄介な存在になる典型的なパターンみたいに思えてならない。
でも"いい人"という印象はどうしても拭えないので、そのうち何かに騙されそうな気がした。
