複雑・ファジー小説

Re: RAVIStar-Midnight Invitation- ( No.4 )
日時: 2015/02/15 14:23
名前: 深海 (ID: nWEjYf1F)

 学校から家までは歩いて行ける距離だけど、それでも約1時間くらいはかかる。
 僕はその道中をずっと玲さんと一緒に歩いてるわけだけど、何故か1人で帰ってるときよりも体感時間が長く感じられた。
 まず、大岩が見えてこない。
 丁度、学校と家との間くらいにすごく目立つ大きな岩があって、今までそれであと半分くらいだろうという目星をつけていたけど、今日に至ってはそれが全然見えてこないのである。
 女性と2人で歩くときの沈黙の重さ。楽しい時間の過ぎ去る早さ。これを改めて思い知った気がした。

「あ、そういえば」

 ここで、僕は思い出した。
 そういえば先日届いたパーティーの招待状に、玲さんの名前が書かれていたっけ。

「どうかしましたか?」

 ということで、思い切ってその手の話題を振ってみることにした。

「玲さんって、菅さんの家で催すダンスパーティーに出席するんですよね?」
「ええ、出席しますよ。でも、どうして知ってるのですか?」
「実は僕の元にも招待状が届いたんです。中身を読んだら、玲さんも出席する旨が書かれていました」

 ——ここで、僕は昨日送られてきた招待状の内容に違和感を覚えた。
 僕は玲さんとは過去に一度会ったきりで、まだお互いの事をよく知らない関係にある。つまりは顔見知りだ。
 なのにどうして英輔さんは、僕宛の招待状に彼女の名前を載せたのだろうか。
 普通なら、僕ともっと親しい人——そう、例えば極端な話、園田潤とかの名前を載せるはずだ。

「あらあら、歩夢君も出席なさるのですか?」
「ええ。見知った人も少なくないと思ったので」
「ふふっ、それは私も含まれるのでしょうか?」
「勿論ですよ!」

 ——そもそも、僕が玲さんと面識があることを、何故英輔さんは知っているのだろうか。
 きっと天音とかその辺りが、それとなく彼にこの事を告げているのだろうけど。

「では当日、一緒に踊りましょうか」
「え……でも僕、ダンスなんて踊ったことないんですが」
「大丈夫ですよ、私がリードしてあげますから。あとでダンスのマナーや予備知識を教えますね」
「えっと、恐縮です」

 ——まあ、どうでもいいか。
 僕が今回のパーティーにおいて、やるべきことは1つ。
 大人の世界を少しでも経験しておくこと。それだけだ。