複雑・ファジー小説

Re: 古の秘宝-LIFE≠00-【キャラ募集開始】 ( No.25 )
日時: 2015/03/20 18:01
名前: キコリ ◆ARGHzENN9w (ID: nWEjYf1F)

 ——再び時は遡り、同日の正午。
 柔らかい日の光に照らされる桜並木の下、ゴロンと寝転がったのは筧麦子。
 ふんわりとした芝生が肌に心地よく、昼寝にはもってこいの環境だが、彼女は昼寝をするために来たわけではない。
 単なる、勉強の合間に置く気分転換である。

 私立杜若(かきつばた)高等学園に通う彼女。
 今は所謂昼休みであり、学園中がガヤガヤと賑わっている。
 中でも桜並木があるこの道は、様々な組み合わせの生徒達でごった返している。
 校門と校舎を繋ぐ一本道なので、当然と言えば当然なのだが。
 筧にしてみれば、もう少し静かな場所で気分転換したいところである。
 とはいえ、この時間は学園中が騒がしいため、何処にいても一緒なのだ。

「ムギ」

 そんな筧を"ムギ"と呼び、やってきたのは同級生の"青山静香"。
 静かな場所を好む点においては、少しだが話が通じる人物である。

「何よ、静香」
「お昼まだ?」

 話が通じるのは、あくまで少し。
 入学してかれこれ勉学一筋の筧と、遊び人を満喫する青山とでは、本来は犬猿の仲であってもおかしくない。
 だが二人は、それなりに仲のよさそうな雰囲気である。

「えぇ、まだだけど」
「じゃあ一緒に食べよ。パン買ってきたから」
「ありがとう。じゃあ頂くわね……あら?」

 青山から焼きそばパンを受け取るなり、筧の頬に何か大きな紙が当たる。
 風に吹かれてやってきたのか、葉書程度の大きさであるその紙を、彼女は手に取り開いて見せた。
 開けば、大きさは2倍だ。

「なーに? またラブレター?」
「またって何よ静香……まだ貰った事も無いわよ」
「えー、意外。てっきり貰ってばっかだと思ってたのに」
「恋愛には興味ないわ」
「ふーん……ま、興味なしだとは思ってたけどね。で、何て書いてあるの?」
「……これは……」
「んー?」

 クリームパンを頬張りながら、筧が持つ紙を覗き込む青山。
 彼女と筧は、紙に書かれているものを認識するなり、暫く硬直していた。