複雑・ファジー小説

閑話休題2 ( No.158 )
日時: 2015/05/29 23:42
名前: yesod (ID: ZKCYjob2)

[閑話休題2]

フォルドさんたちにまた会えた。とっても明るい人で、セージ様と仲良くなれるかなと思ったけど、喧嘩ばかりだった。
でもいつの間にか仲良くなったり。サイトは「男なんてそんなものだ」って言ってたけど、よくわからない。
伊藤さんって人も一緒にやってきた。セージ様と同じ国の人は髪も黒色だった。
私は不安になった。この人はセージ様のことを知っている。日本にいた頃のセージ様はよくわからない。
私にとってセージ様は『優しいご主人様』なんだけど、伊藤さんにとってのセージ様は『細かくてカッコつけの坊っちゃん』。
それに女の人に優しいから、モテていたという。
あまりにも私の知ってるセージ様ではなかった。

日本のことを話しているセージ様は楽しそう。
もしかしてセージ様、日本に戻りたいんじゃないかな・・・・・・と不安になった。

でもセージ様は日本に戻るつもりはないとハッキリ言った。
日本はここより平和で便利な世界。わざわざここにいていいことなんてない。
本当は戻りたくて私たちのせいで戻れないとしたら申し訳なく感じた。

伊藤さんは私に秘書としてのマナーというものを教えてくれた。
お客様へのお茶の出し方やお辞儀の仕方など、すぐに役にたちそうなものばかりだった。
伊藤さんは「ルチカちゃん可愛い!」って抱き締めてくれた。
伊藤さんは私の髪を触りながらこう言った。
「ちょっと髪の毛長いのが気になるなあ。ちょっと待ってね、お姉さんがいいものあげる」
そう言って、伊藤さんは私にレースがいっぱいついたピンク色の髪飾りをくれた。
「シュシュっていうのよ。これつけたらもっと可愛くなると思うわ」
でも、こんなに高そうなものいいのかしら。
戸惑っていると、伊藤さんは「あなたの方が似合うと思うから」と言った。
そして、私の髪を後ろに1つにまとめてくれた。
シュシュを着けた私を見て、セージ様は「大人っぽくなったな」って言ってくれた。
なんだか誉めてくれたみたいで嬉しかった。

Re: リーマン、異世界を駆ける【参照2000、ありがとー!】 ( No.159 )
日時: 2015/05/30 11:03
名前: yesod (ID: ZKCYjob2)

【彼】が伊藤さんを連れ戻しにやってきたのは、資材が倒れた事故があった日だ。
リリナたちはもう帰ってしまっている時間帯になっていた。
セージ様は「お客さんだ」とだけ言って、私たちを家に置いていった。
私は窓から【彼】を初めて見た。サイトもツバサも興味津々だった。
その人は男か女かわからないぐらいとっても綺麗な人だった。
「この人は・・・・・・人なの?」とセシリーさんが言った。私も【彼】にどこか違和感を感じていた。
セージ様は何か知っているのかしら。
ふと、周囲を見渡すと、フォルドさんがいなかった。

彼の近くにはセージ様と伊藤さんがいる。

私は神様たちの会話に耳をすました。

「やあ、御苦労様。はい、これお土産」
「ちんすこうなんていらねぇよ」
「冷たいなあ、こっちは欲しかったんじゃない?」
「お、自転車。これは欲しかったよ。で、伊藤さんを頼む」
「おっけぇ('-^*)b」

よくわからない会話だった。
セージ様と親しそうだけど、セージ様からそんな感じはしなかった。
そのとき、フォルドさんがセージ様のところに駆け寄るのが見えた。
「よう!お前らだけ秘密にするなんてなんか怪しいぞ」
「げ。フォルド、来るなと言っただろう・・・・・・全く」
フォルドさんは【彼】のほうに向く。
「お前・・・・・・なんなの?人間なの?」
あ、直球で聞いちゃった。セージ様も口をあけて絶句してる。
【彼】は笑いだした。
「やっぱり面白いね、君。初めまして、僕は神です」
神様なんているんだ・・・・・・。
セージ様って神様とお話しできるなんてすごい。
「へぇー、神っていうんだ。俺はフォルド。よろしくな」
「僕はなんでも知ってるよ。頑張ってね、ずっと君のこと見てるよ」
「き、気持ち悪いな」
セージ様は「頭がおかしいから真に受けるな」といった。

伊藤さんも神様からちょっと距離をとっていた。
「あの人、頭大丈夫なの?」
セージ様は苦笑いするだけ。
神様は警戒する伊藤さんに構わず、腕を握った。
伊藤さんに触れると、一瞬で消えてしまった。
セージ様は何事もなかったかのように家に戻った。

伊藤さんが消えた後、フォルドさんたちも別の町に行くことになった。
セージ様は金貨を5枚入れる。
トラブルさんは「泊めてもらった上にこんなにいいのか」と恐縮していた。
すぐにフォルドさんがトラブルさんを小突いていたけど。
セージ様は「これで気持ちよく出ていってくれるなら安いものだ」と笑顔で言った。手のひらをヒラヒラしながら。
フォルドさんは口を開いた。
「さりげに酷いな、お前。そんなんだと、いつまでも嫁ができないぞ」
「お前こそ、頑張れよ」
「なんだとっ!?」
また言い合いが始まった。
でも、セージ様は「また来いよ」という。
最初は出ていって欲しそうだったのに・・・・・・やっぱり男の人はよくわからない。

伊藤さんはセージ様と同じぐらい不思議な人だった。
あの人がフォルドさんに言った言葉がやけに心に残っている。
「セシリーさんのことが好きなんだっていい加減気づきなさいよ。
お互い中途半端なのが一番可愛そうよ。ちゃんと思いを伝えたほうが、信頼されるし・・・・・・。
・・・・・・じゃあ、あんた以外の人がセシリーさんを幸せにしちゃっていいの?」
伊藤さんも不思議な人だったなあ。
もっといろいろ教わりたかった。