複雑・ファジー小説

閑話休題4 ( No.196 )
日時: 2015/06/22 20:06
名前: yesod (ID: ZKCYjob2)

[閑話休題4]

君がこの世界に来て半年になるだろうか。
僕はずっと君の様子をみていたよ。

なにしてんの?ほんと

転移の魔法覚えるの遅すぎ。
エリックという魔導師に教わってるけど、彼に変に気に入られてしまって、襲われることなんてよくあった。

その度に時間を巻き戻しているんだけど。

だってベッドでヒィヒィ泣かされて、これからどうするの?
君もちょっとは用心しようよ。
大陸一か知らないけど、なんでエリックなんかに教わってるの?
君のほうが魔力は高いのに。

慣れない世界での生活に困らないように、お金だってたくさんあげたのに少ししか使っていない。
獣人もまだ数えるほどしか買っていないし。
自分で商売してどうするの?
今、リードマン商会の会長と自転車作りに夢中になっている。
ほんと、お子さまみたい。
実はあのお金、悪いことをした人から少し拝借してるんだけどね。だからこれからもドンドン増える予定。
悪いことしている人間って減らないね(笑)
安心して使えばいいのに。

君は一人になると、スマホで無人島について調べているね。
やっとこの島の存在に気づいたか。
あの島は存在は知られていなくて、地図には載っていない。君の前世はここに住んでいたんだよ。僕と一緒にね。
覚えていないかな。
君が人間に殺されたことも。
君は教わった転移の魔法を使って、無人島に移動した。

僕も行こうっと。
懐かしいから。

無人島に着いて、散歩するようなペースで歩いている。
途中であちこちに建物が建ててあった形跡がある。それを興味深そうにみているね。
そして、君が前世に住んでいた家があった場所に来たときに僕は現れることにした。

「やあ、なんか懐かしいでしょ?」
「お前か。いや、ここは昔は無人島じゃなかったんだな、と思っただけだ」
嘘つき。神様はすぐにわかるんだよ。
どうやら完全に思い出していないみたいだけどね。
君はこう言う。
「お前が何を企んでいるか大体わかってきたぞ」
「そう?じゃあどうするの?」
「好きにやらせてもらうさ。イザとなったら助けてくれるだろ?神様」
「え〜、神様があまり人間に介入してはいけないことになってるんだ」
今まで散々介入してきたけどね。
僕の計画を知ったら反対するかと思ったけど、君は諦めているのか流れに任せるようだ。
君は「もう戻るから」と転移の魔法を使った。
抗うつもりもないけど、協力するつもりもないみたいだね。
前世の君なら希望に燃えるような目で僕に反対するだろうけど・・・・・・育った環境が悪かったかなあ。
まあ、よしとするか・・・・・・。
ここは神様らしくしばらく見守っておくことにしよう。