複雑・ファジー小説

第26章 ルチカside ( No.254 )
日時: 2015/08/02 08:19
名前: yesod (ID: ZKCYjob2)

【第26章 ルチカside 】
セージ様が見つけた島は名前がなかった。
セージ様は「俺の前世が住んでいた島だ」と言ってたけど、前世ってなに?
前世って生まれる前のことって説明してくれた。セージ様が生まれる前は龍だって言ってた。
天気を操ることが得意だったみたい。
セージ様が龍ってなんとなくわかるかも。だってあんなにすごいんだもん。

島はとても大きくて、知らないことが多い。
セージ様から聞いただけで、まだ行ったことはないけど、場所によって全く気候が違うらしい。
北は今は涼しいけど、冬になるととても寒くて、雪がセージ様の身長よりも積もるらしい。
南はいつも蒸し暑くて、大きな森がある。
私たちがいる東はとても暖かい場所。気候が日本と似てるって言ってた。
西はとても乾燥していて、水があまりない。
中央には森があって、食べられそうなものがいっぱいある。
海には魚の獣人がいた。彼らはセージ様がこの島に来る前からここで暮らしていた。
魚の獣人で一番偉い人はキャサリンという女の人で、笑うと尖った歯がたくさん見えてちょっと怖い。
この人たちは私たちが使う水を作ってくれるようだ。すごくありがたいと思った。
獣人の種族は多くて、それぞれにとって一番いい環境があるみたい。
この島なら住みやすい場所を選べるからいいよね。

セージ様は私たちが知らない間に大きなおうちや小さなおうちを30軒も建てていた。
私たちが新しく住むおうちは、2階建てで一階に1つ、2階に2つある。
この中では中くらいの大きさだ。
今まで住んでいたおうちよりも狭かったけど、皆と一緒に住むわけじゃないみたい。

私をこの島につれていくと、すぐにエリックさんのところに戻った。
そして、ミシェルもエリックさんの使用人もつれてきた。
セージ様は1つのおうちに二人ずつ住んでもらうつもりみたいだけど、彼らは6人や8人で住んだ。
「こんなにいい家を下さって、私たちはとても幸せです。どうか他の獣人を救ってください」
とエリックさんの使用人は言った。
私たちも彼らを見習って、私たちは2階で、メルトさんとお母様が私たちの1階の部屋にすむことになった。
サイトとガズナは自分でおうちを作って、そこに住むと言っていた。
キリはエリックさんの使用人と一緒に住むみたい。
皆すぐ近くにいるから、いつでも会えるけど、皆バラバラってなんだか寂しいな・・・・・・。

第22章 ルチカside ( No.255 )
日時: 2015/08/02 08:17
名前: yesod (ID: ZKCYjob2)

セージ様は次にリリナさんを連れてきて、家を建てるようにお願いした。
サイトが簡単に家を作る方法を教えたから、今はサイトが考えた家をたくさん建てている。
リリナさんのおかげで簡単な造りの家はどんどんできている。
そこに獣人が一人か二人で住むことになる。
そして同時にちゃんと暮らせるように、立派なおうちも建てていた。
その家ができたら順番に獣人たちを住ませるようだ。早く完成したらいいな。

私とミシェルは新しく島に住む人たちに案内と説明をするのが仕事だった。
私は新しい住民たちにお茶と木の実を出す。獣人がほとんどだけど、人間も少しいる。
人間は居場所がない人を中心に選んでいるみたい。でも、一緒に住んでいて大丈夫かなと思う。
ツバサは大丈夫だったけど、大人の人もいる。
「どうぞ。召し上がってくださいね」
私がそういうと、住民たちは木の実を恐る恐る口に入れた。
最初は皆、こんな感じで私たちに警戒する。食べ物を口に入れることによって、ある程度落ち着くようだ。
ミシェルは一人ずつ声をかける。
「初めまして、僕はミシェルです。あなたの名前を教えてくれますか?」
「カヤです・・・・・・」
「カヤさん、よろしくお願いします。ここは安全ですから、安心して暮らしてくださいね」
ミシェルはカヤと名乗った獣人の名前をノートに書いた。
ノートには一人一人の名前や種族などが記されている。住民はもうすぐ300人を越えそうだ。
この島にどんな人が住んでいるか、何人が住んでいるかを把握するのが必要だとセージ様が言っていた。
セージ様から【獣人図鑑】を貰ってミシェルと勉強している。
獣人の種族によって生活の環境が違うから、私たちも理解しなければならない。
木の実を食べ終わったのを見てから、私たちはこれから住むところを案内した。
「これがあなたたちがしばらく住むところです。新しい家ができたら、指定する地域に引っ越してもらいます」
皆は頷く。
これからは安心して生活できると喜んでいる人や、質素な家に不満そうな人など、様々な表情が見える。
私は続けた。
「ここで暮らすための規則は1つです。差別をしないことです。ここにいる人たちは獣人も人間も平等です。種族の差別もいけません。
皆様が楽しく生活するためにはとても大切なことですので、守ってください」
新しく島にやって来た人たちに必ずこの説明をしている。
私はセージ様の理想の世界を一緒に造りたいと思った。

Re: リーマン、異世界を駆ける【超→感↓激↑3000!!!】 ( No.256 )
日時: 2015/08/02 19:03
名前: yesod (ID: ZKCYjob2)

ある日、セージ様はいつものように新しい住民を連れてきたけど、そのうちのある人物に驚いた。
「ライカ・・・・・・!」
レジスタンスの幹部の人だ。
石像を爆破して、祭りをめちゃくちゃにした人。
ライカには首輪を着けられていた。
「ルチカ、ミシェル。よろしく頼むな」
そういって、セージ様は次の仕事に取りかかった。
どうやって話そうかな・・・・・・。
辺りは気まずい雰囲気になる。
ミシェルは言った。
「ルチカ、大丈夫?他の皆も待ってるから、お茶を用意しよう」
ミシェルのいう通りだ。
皆、知らない場所に連れていかれてかなり疲れている。
少しでも癒すためにお茶を用意しないと。

ミシェルはいつものように一人ずつ名前を聞いていた。
ライカは普通に答えていた。
どうしてライカは首輪をしているんだろう?
ミシェルの質問が終わったのを見て、私は彼に聞いてみることにした。
彼に少しずつ近づいて、隣に座る。
「どうして首輪をしてるの?」
ライカは答えた。
「これは獣化防止の首輪なんだ。俺がレジスタンスの活動をしないようにな」
レジスタンスは、指導者であるダグが亡くなって、その後継者争いで分裂しているようである。
権力のために仲間同士で争う姿や、これまでのレジスタンスの活動に悩んでいたという。
そこにセージ様が現れて、レジスタンスの幹部の地位を棄てて、この島に連れてきてもらった。
しかし、これまでのことがあるため、獣化防止の首輪をつけてもらったという。
ライカは指で首輪を撫でる。
「この首輪は俺の罪のようなものだ。殺してきた相手のこと考えれば、こんなものでは軽すぎるかもしれないけどな」
セージ様はこの首輪を着けるのはしばらくの間だと言っていたようだけど、ライカは死ぬまでずっと着けていてもいいという。
ライカは続けた。
「お前はいいな、セージの奴隷で。羨ましいよ」
「奴隷じゃないよ。それにここにいる人たちは皆、セージ様の仲間だよ」
ここの人たちは種族に関係なく平等。
自分たちで考えて、いい国を作り上げる。
奴隷なんていらない国を皆で作っていきたい。

第26章 ルチカside ( No.257 )
日時: 2015/08/03 19:35
名前: yesod (ID: ZKCYjob2)

私は時々桜を見に行った。
セージ様のいう通り、花が散ったら緑の葉っぱがでてきて、秋になると、葉っぱが赤色や黄色になった。
冬は雪が降っていて、寒いからセージ様の提案で皆で集まってスープを飲んだりした。
時々セージ様と二人で【デート】で遠くに行くことが大好き。
景色が綺麗なところや遊べる場所に連れていってくれた。クレイリアに行くこともあった。
毎日忙しかったけど、とても楽しかった。

こうして一年が過ぎて、また桜の花が咲いた。
「とっても綺麗よ、ルチカ」
メルトさんは私にドレスを着せてくれた。
全体的に白色のドレスだけど、裾には桜の花の刺繍がされていた。
セージ様がリードマン商会に注文したようだ。
「セージ様にここまで大切にされてよかったわね」
お母様に髪飾りをつけてもらった。ドレスとおなじ桜の花の髪飾りだ。
「支度、終わった?」
振り向くと、少年が頭に手を組んで立っていた。
灰色のスーツを着こなしている。
えーと、誰?
「あ。もしかして男前に変身したから、誰かわからなかったとか?」
彼がニヤリとしたところでわかった。
「ツバサ?」
よく見ると、ツバサだ。
ツバサは「そうだよ」と答えた。
背が伸びていて、声もかすれてるからちょっとわからなかった。
匂いを確認すると、間違いない。ツバサだ。
ツバサは「やめろって。セージに殺される」と苦笑いした。
ツバサはセージ様に島に誘われたけど断って、リードマン商会に残った。
けど、私たちの結婚式には特別に来てくれた。
「結婚おめでとう。幸せにな」
私は頷いた。
もう涙が出そうだったけど、我慢した。

私が売られそうになったとき、お母様が逃がしてくれたから、セージ様に出会えた。
セージ様は最初から優しくて、すぐに大好きになった。
いっぱい与えてもらって、私はとても幸せです。
島にいる人も島の外の人も、皆幸せになったらいいな。