複雑・ファジー小説
- お ま け ( No.264 )
- 日時: 2015/08/09 08:12
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
[おまけ ルチカside]
私とセージ様の子供がついに生まれた。男の子だ。
髪と尻尾はセージ様と同じ黒で、目は私と同じ青。
耳と尻尾は私もあるから見た目は獣人。獣化もできる。
名前はセージ様に考えて貰った。
『誠』って名前。
誠っていう字は、真面目で真心があるという意味が込められている。
さらにこの字を別の読み方をすると、セージ様の『聖』という字と同じ読み方をするって教えて貰った。
セージ様と同じって嬉しいな。
こんなに素敵な名前を考えてくれたセージ様はすごいと思った。
3ヶ月もしたら、よちよちと歩けるようになった。
「早くないか?」
セージ様は言う。
種族によるけど、獣人はこれが普通。
人間は歩けるようになるまで一年はかかるって言っていた。
「にゃぁぁぁ〜」
誠は腕を伸ばして、セージ様のところまで歩く。セージ様も手を伸ばした。
「おいで!誠!」
「にゃぁっ」
歩く途中でつまずいてしまったが、セージ様はじっと優しい目で見守っている。
誠は自力で立ち上がり、セージ様のところまでたどり着いた。
「よしよし、いい子だ。えらいな」
「にゃぁ、にゃぁ」
セージ様に頭を撫でられて、とても嬉しそうだ。
誠もセージ様のことが好きみたいで、抱っこしてもらおうとよじ登っている。
「お前小さいのにすごくないか?」
そう言うと、セージ様は誠を抱っこして、ユラユラとゆっくりゆらした。
すると、誠はウトウトする。
セージ様は誠を専用のベッドの上に寝かせた。誠は安心しきった顔で眠っている。
そしてセージ様は私を見て、ニコリと笑う。
「俺たちもお昼にしようか」
「うん!」
この幸せがずっと続いたらいいな。
私たちが子供たちのために頑張らないとね。
- おまけ ( No.265 )
- 日時: 2015/08/09 19:41
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
[おまけ 神様side]
やあ、神様です。お邪魔します
セージに気づかれないように、暖かい目で見守っていました。
全く・・・・・・やってくれるよ。
財力と強大な魔力を与えたから、好き勝手に動くと思っていたのに。
人間と獣人が共存する国を創るなんてさ。
しかも、君はずっと国王をやるつもりはないみたいだね。
表向きには僕に従ってるふりをしておいて、こうなるように仕向けていたんだ。
介入しようにも、この島の原子は全て彼に従うようになっているから手を出せない。
別にいいよ。ハッピーエンドになるならね。
このままうかうかしてたら、僕も追い越されちゃいそうだね。まあ、今の彼には無理だけど。
仔猫はスヤスヤ眠っている。
セージとルチカの子供だ。
マコトって名前にしたらしい。
本当は違う種族で子供はできないけど、兄に特別に許可して貰った。
だって1つの世界が滅ぶのを阻止してくれたからね。
実行者であるフォルド君たちにも同じご褒美をしなくちゃね。
まだ戦争は終わっていないけど、これなら放置してもしばらく大丈夫だ。
あとは人間たちのお好きにどうぞ(笑)
マコトが目覚めたようだ。
姿を隠しているはずなのに、マコトはじっと僕がいる方をみている。
この子はもしかしたら生まれつき魔力が強いのかもしれないね。
僕のほうを見ると、ニコリと笑う。
「んみゃ〜お・・・・・・」
「うん、そうだね。うん」
何を言ってるのかわからないけど、とりあえず適当に相槌をうつ。
翻訳できるけど、面倒臭いし。
誠はベッドから起き上がって窓の外を見る。
「にゃあ」
「うんうん」
うーん、めんどくさいなあ。
ちょっと見るだけのつもりだったんだけどな。
そのとき、窓からゴリラの獣人が歩いているのが見えた。
頭のてっぺんには髪の毛がない。
ちょうどいいや。
「ハーゲー」
僕はゴリラの獣人を指差して言った。マコトは興味深そうに僕を見る。
「ハーゲー」
僕はもう一度言う。
「にゃ・・・・・・」
「ハー、ゲー」
「にゃえぇ」
よし。
まだはっきりとは言えてないが、それっぽく言えた。
「いいぞ、ハーゲー」
「ピャイェ〜」
段々上達している。頭がいいのだろうな。
そのとき、足音が聞こえてきた。
「誠、何をしてるの?」
あ、やばい。奥さんだ。
僕はこの場所から離れた。
ルチカはマコトを抱き上げる。
「起きちゃったの?」
「にゃぎぇ」
マコトはゴリラの獣人を指差して言う。
ルチカはフフっと笑った。
「いい天気ね。後でパパと一緒に行こうね」
「にゃー」
さっきその子が何を言ったのか理解していないのだろうな。
変なこと教えてごめんね。
「にゃにゃ」
「今、ママって言ったの?それともパパ?」
「にゃにゃっ」
すると、ルチカは嬉しそうに駆け出した。
「セージ様!今、パパって言った!」
「今のはどう考えてもママだろう」
本当に幸せそうな家族だな。
君たちは僕が守っているからね。
- おまけ ( No.266 )
- 日時: 2015/08/10 07:11
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
[おまけ セージside]
誠に今流行りの猫ちぐらを作ってやろうと思う。
魔法ですぐに作れるが、手作りのほうが愛情詰まってていいだろ。
なんでも魔法に頼っちゃだめだ。
底の部分が完成し、毛布を敷いてやる。
大きさやフィット感を確かめるために、誠を入れてみた。
誠は気に入ったのか、尻尾をリズミカルに動かしてご機嫌だ。
「気に入ったか。あとは父さんが完成させるからちょっと待ってな」
「ニャア」
余程気に入ったのか、誠はそこから退いてくれる様子はない。
「誠〜。そこから退かないと、猫ちぐら作れないだろ?」
俺は誠の脇に手を入れ、持ち上げようとするが、誠は猫ちぐらを掴んで抵抗した。
「いやっ」
どうやらここが気に入ったらしい。気に入ってくれるのは嬉しいけどなぁ・・・・・・。
「ま〜こ〜と〜」
「いやーっパパらめぇー!」
最近、誠は少し話せるようになっている。
新しい言葉を覚える度に俺は感動している。
「よーし、10数えるまでそこから退かないなら、コチョコチョの刑なっ!いーち・・・・・・」
「ニャー!」
結婚して子供を持つことになるとは思わなかった。
俺には勿体ないぐらいの幸せだ。
この世界に来て、俺は考えが変わったと思う。
自分さえよければいいと、周りから1歩引いていたが、今では中心になって物事を動かしている。
俺にはこの国の最高責任者としてやることはある。
息子に平和な世界を見せるため。
それはまだ実行まで時間は少しかかるが。
そして、誠がいない間に猫ちぐらを完成させた。
息子のために頑張ったと達成感を感じる。
しかし、肝心の誠は猫ちぐらを警戒して入ろうとしなかった。
「誠〜、怖くないぞ」
「にゃ・・・・・・」
何故か誠は怖がっていたため、諦めた。無理矢理入れるのも気分は良くないし。
猫って狭いところが好きじゃないのか?
試しに屋根の部分をはずすと、誠は自分から猫ちぐら(未完)に入った。
それがよかったの?なんだか複雑だなあ・・・・・・。
ルチカは「あら、素敵な籠を作ってくれて良かったわね」と言った。
ルチカ、それ籠ちゃう。猫ちぐらだったやつや。
ちなみにルチカもそれが気になったらしく、俺に隠れて密かに獣化して入っていた。
俺に見つかると、そそくさと逃げて「違うの!セージ様、これは違うの!」と慌てていた。
可愛いの一言でしか表現できない。
スマホの待ち受けにしたかった。
- 今更だが、登場人物紹介 ( No.267 )
- 日時: 2015/08/11 14:45
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
もう最終章に近いと思うのですが、ここでおさらいの意味も込めて
登場人物紹介です
年齢はマコト誕生時です
*
セージ 29歳
ハポネの建国者で、初代元首。元中堅工具商社のリーマン
前世は竜で神の友人だった。
魔力は年々強くなっている。
人から距離を取り、覚めたように見下すところがあったが、ルチカと結婚して改心したようだ。
ただ、生い立ちのせいか口が悪い。
自分をほめたたえられるのが苦手
人間を見下しているときとルチカに対するデレの差が激しい。
ルチカ 18歳
シャム猫の獣人。セージの妻。
純粋な性格のおかげでセージの心を開く。
ハポネ建国当初はミシェルと一緒に新規の住民の登録をしていたが、
人口の増加が落ち着くと、保育士になる。
セージのことが好き。
マコト 0歳
12月25日生まれ。
黒猫で、目はルチカ譲りの青。
神様に「ハゲ」という単語を教えられ、覚えてしまう
パパもママも好き。高いところが好き。サイトに上るのも好き。
サイト 23歳
ハポネで建物建設の中心的人物になる。
その後、3代目元首となってセージを心配させる。
メルトと同棲している。マコトを息子のようにかわいがっている。
メルト 30歳
ハポネの食堂の店長となって、住民たちの胃袋を満たしている。
世話好きで、子供たちにおやつをサービスすることもある。
歌を歌いながら料理をすることで評判。歌を聴きに来る客もいる。
食堂で働く店員たちに慕われている。
キリク 16歳
オオカミの獣人だが、いまだにセージに犬だと思われている。
ミシェルの仕事を手伝っているが、時々サボっている。
嫁さんができて、子供が8人できる。
子供たちと一緒に遊んだりしており、ガキ大将的なポジションになっている。
ガズナ 47歳
カブトムシの獣人。
長年の経験を活かして、肥料の開発で農業の発展に尽くす。
農業の指導をする。
マーティ 20歳
ウマの獣人。
もともと軍の奴隷。戦争に嫌気を指し、セージについていく。
農業をやったり、馬車の運転をしたりしている。
のんびり屋だが、時々毒舌。
タチアナ 35歳
ルチカの母。
奴隷生活から抜け出し、ようやく固定的な価値観が変わる。
ルチカと一緒に保育士の仕事をしている。
エリック 54歳
ハポネの二代目元首。
医者をしていたが、現在は政治家としてややこしい部分の事務処理をしている。
セージに相変わらず心酔している。
ミシェル 20歳
フェネックの獣人。
エリックの恋人。
エリックの仕事のサポートをしている。
礼儀正しく、人気がある。
リリナ・ハッツガグ 21歳
ハッツガク建築協会の跡取り息子だが、その将来を捨ててハポネへ。
以後、ハポネの建築で中心的な人物となる。
身長が相変わらずあまり伸びていないのが悩み
カスパル 40歳
元保安官。
戦争により、無秩序になった世の中に絶望し、
さらに右足が不自由なせいで、お荷物扱いされていた。
自殺しようとしていたところ、セージに助けられ、そのままハポネで生活を送る。
エリックの仕事の手伝いをしている。
ライカ 22歳
カラカルの獣人。
元レジスタンスの幹部。
首領が死んでから、獣人を開放する目的そっちのけで後継者争いに力を注ぐ仲間に嫌気がさしていたところ、セージが現れ、価値観を変える。
獣人で彼だけ唯一獣化防止の首輪をしている。
*
レイズ・リードマン
リードマン商会会長。戦争でも従業員を守るのと国民のため、クレイリアに残っている。
相変わらず獣人に対しての態度は日和見だが、何かしてあげたいと思っている。
ツバサ 15歳
リードマン商会の従業員。画家で、巧みなトークでパトロンが多数いる。
セージにハポネへ誘われるが、拒絶。
戦争で心に影響を受けており、戦争の悲惨さをテーマにした絵を描き続ける。
レイラ・アッシュバートン 20歳
アッシュバートン家の女傑。
セージにハポネへ誘われるが、拒絶。
セージに自分が守りたいものを守れというように、自分もこの国と家族のような存在である獣人を守ろうと思っている。
現在、興味の対象が広く飽きっぽい性格を活かし、貿易で大儲けしている。
ツバサのパトロンの一人
ルイザ 39歳
アライグマの獣人
レイラの世話係。
頭の回転が速く、レイラの右腕的な存在。
レイラが間違った方向に進もうとすると、正面から批判をし、周囲を驚かせている。
アーノルド・カヴール 37歳
クレイリア軍第3部隊副隊長→元帥
規律に厳しく、知らない者から鬼のように恐れられているが、
本当は人が良くて面倒見がいい。
戦争が終わって、セージに時々いじられているようだ。
ヘンツェル・ハルト・クロステル 43歳
元第3部隊長
戦争が終わったら、引退。
なぜか山登りにはまる。
右腕を失っている。
ネスカ14歳
戦争が終わったら、ヘンツェルについていく。
ヘンツェルの登山の無茶ブリになんとかついていっている。
(よくヘンツェルは遭難するため、においでかぎ分けている)
*
フォルド 28歳
セージに伝説の剣を渡され、それがセージと会えた最後となる。
戦争を終わらせた影の英雄。(神の姉と戦っていた)
最初からフォルドにあのカバンを渡せばよかっただろって?
金を使い果たすにきまってるじゃないか
戦争が終わった後、残された獣人たちの生活を支える。
セシリー 22歳
フォルドの妻となって神のご褒美で男の子をさずかる。
フォルドが「もう一人」と言い出し、神様を呆れさせ、女の子も出産する。
フォルドのわがままに振り回されながらも楽しそうだ。
トラブル 27歳
フォルドの従者。気の強い妻ができたらしく、尻に敷かれている。
最近、十円ハゲを気にしている。
サルベグサ 28歳
戦争が終わってから、旅芸人に戻ってあちこち旅している。
新たな獣人たちの仲間とともに、根強い差別と闘っている。
*
神様(ケセド)
この世界の神。
思い上がった人間を滅ぼそうとしていたが、セージの働きを見て思いとどまる。
何もしないのは、この世界の人たちが自分で何とかするだろうと信じているから