複雑・ファジー小説
- 終章 セージside ( No.276 )
- 日時: 2015/08/15 14:20
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
ようやく戦争が終わった。
あまりにもあっけなくて、実感が湧かなかった。
大臣たちが帰って俺はようやく一息ついた。
あいつらと話していると、胃が痛む。弱みを見せないよう、虚勢を張るのが精一杯だった。
カスパルさんも大変だっただろう。お疲れ様。
誠は呑気に「バイバーイ」と手を振っていた。
島は安全で、島の外で誰かが殺し合いをしているような悲しい状況はないのだ。
フォルドさんたちも、島に行かなかった人たちもとりあえず危険が無くなった。
汚れを知らない息子の瞳を見て、俺も頑張った甲斐があったかな、と思う。
俺はフォルドさんたちのように戦えない、レイラさんやレイズさんみたいにあそこに残る度胸もない。
しかし、俺は俺のやり方で戦えたはずだ、と思う。
和平条約を結ぶサインをさせた後、彼らを家に泊まらせ、しばらくハポネを視察させてやった。
町の様子や農作物など彼らには驚くことばかりだったようだ。
特にバナナやマンゴーは食べたことがないから驚いていた。
カカオもハポネで見つかり、住民たちの熱心な研究のお陰で今はチョコレートを作れるようになった。
南国的なものが向こうで人気になりそうだ。向こうでは作れないからな。
まだまだ先になるだろうが、国民を両国に派遣して、技術指導することもあるだろう。
今はハポネがダントツに発展していて、わざわざ両国に行きたがる奴はいないから。
俺は建国と同時に元首という地位についた。俺が国を建てたんだから、しばらく様子を見ないといけないだろう。
元首と言っても国王ではなく、国民の代表という意味合いを強くしている。
そして、任期を五年間に定めた。
次に元首になるやつは選挙で決めることになっている。
長い間地位を固定して、独裁政治になることをを阻止するためだ。
誰でも心が弱い部分はあるし、周囲も媚びることがあるだろう。
完璧な制度はない。
しかし、互いに協力して発展することは可能だ。
視察を兼ねて、ルチカと町を歩いた。
「あ、セージ様だ!」
「セージ様、うちに寄っていきませんか?」
俺を見かけると、皆は俺を神のように崇める。
ここでも俺を完璧だと見られるんだな。
誠は俺におんぶされている。
誠は高いところが好きだ。
危険な場所に登らないように注意しないといけないな。
特にサイトに登るのがお気に入りだ。
サイトに申し訳なく思うが、サイトは「気にしないでくださいよ。俺、子供好きですから」という。
サイトとメルトさんには子供がいないからな。二人は誠を甘やかしている。
エリックさんやミシェルにも本を読んでもらって可愛がられている。
キリはいい遊び相手だった。
おかあさん(タチアナさん)のことは「ばーば」と呼んでいる。
おかあさんは孫ができて嬉しいみたいだ。ルチカと協力して世話している。
孫の顔を見せられて、俺も親孝行出来てよかった。
恵まれた環境で誠は皆から愛情をもらって育った。
できればこの子には幸せなことしか知ってほしくない。
- Re: リーマン、異世界を駆ける【超→感↓激↑3000!!!】 ( No.277 )
- 日時: 2015/08/15 20:49
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
大きくなって、誠は学校に行くようになった。
俺は元首を引退して、外交官になっていた。
俺が引退した後は、エリックさんが元首に選ばれた。
エリックさんは年齢的にキツイが、もう少し頑張ってもらおう。
外交官といっても仕事の内容は、レイズさんとの取引が主だ。
レイズさんと翼はクレイリアとルテティアを跨いで商売して、一生懸命復興を目指している。
荒れた国で商売をするのは大変そうだ。
リードマン商会の獣人たちは無事で、今も働いている。
ハポネにいる獣人たちが外の世界で就職するならリードマン商会なら安心かな。
そして、戦争で荒れた両国の政治に介入している。
獣人の所有を禁止し、税金の使い道をチェックした。
すると今度は貧しい人間や捨て子が奴隷になった。
王様って身勝手なんだな。自分のことしか考えていない。
ところで俺、どこまで介入するべきなんだ?
さらに外の世界では、俺を崇める宗教が設立されていた。
おいおい、やめてくれよ・・・・・・。
俺は大層な人間じゃないぞ。
祈る前にやるべきことをやってくれ。
神様こいつらをなんとかしろよ。お前の世界だろ。
仕事が終わって、家でのんびりしていたとき、誠はノートを手に持ってこう言った。
「父さん。宿題なんだけど、将来やりたい仕事について作文を書くんだ」
「ほう。誠は何をしたいんだ」
俺はワクワクして聞いてみた。
誠の成長がすごく楽しみだ。
誠は口を開いた。
「父さんみたいな外交官になりたい」
俺は驚愕して、一瞬誠の言葉が受け入れられなかった。
俺の驚愕を知らないのか、誠は続ける。
「外の世界と協力して、この国をもっとよくしたい。父さん、外交官で大変なことって何?」
「誠、国と国の取引はそんな甘いものじゃない。一歩間違えたら、全国民を敵に回すこともある」
俺は厳しい顔を作って言った。
誠が考えているようなそんな甘いものじゃないんだ。
身勝手な相手に神経をすり減らしすぎて、薬を服用しながら仕事をしたことがあった。
今はカスパルさんと協力してやっているが、跡継ぎがいないのが問題だ。
誠の言葉は嬉しいが、そんな辛さを誠に味わせたくない。
「俺は綺麗な人間じゃないぞ。相手を騙したり、色々汚いこともやるんだ。
綺麗ごとばかりじゃ外交官はやっていけない。たくさんの人を不幸にするんだぞ。
こんなこと誠にはできないだろ。いや、むしろそんなことをやらせたくない。」
最悪相手の生活を壊すことだってある。多くの貴族や奴隷商人を路頭に迷わせた。
彼らには生活があり、大切な家族がいるにも関わらず、俺は冷徹に切り捨てた。
そんな汚いことをするのは、俺だけで充分だ。
外はハポネみたいに皆が仲良くというわけにはいかない。
誠は涙目になって、ノートをギュッと握りしめる。
誠の目から涙が落ちたのを見て、俺は我に返った。
あ・・・・・・俺、最悪。
たかが子供の夢でマジになって息子を泣かせるなんて。
「誠っ、ごめん!言い過ぎた」
「父さんなんて嫌い〜!」
そう言って、誠はルチカのほうに駆けていった。
その後、誠はルチカに慰めてもらったようだ。
「パパはね、誠を守るために言ったのよ。許してあげてね」
そう言って、泣いている誠を抱き締めた。
- 終章 セージside ( No.278 )
- 日時: 2015/08/16 08:56
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
エリックさんが元首を引退した後はなんとサイトが元首に選ばれた。
なんで!?
心配の種が増えた。
元首を引退したのに、俺は顧問としてサイトの補助につくようになった。
日本と違ってハポネは国民がみんな素直だから統治しやすい。しかし、イレギュラーなことがあるとサイトは慌てて俺にすがってくる。
サイトの父親は村長だったらしく、サイトも父親に憧れていたようだ。
形は違うが、夢は叶った。
サイトは「旦那・・・・・・こんなバカな俺をここまでしてくれてありがとうっす」と泣いていた。
俺にとってサイトは弟分みたいな感じだから、世話をやくのは苦ではなかった。
サイト自身が人望があるから国民に人気があり、周囲と協力しながらなんとか仕事をこなすことができた。
一方、誠は卒業してもまだ外交官を諦めていなかったようで。
俺は練習として、2年間ハポネの店で接客をさせた。
誠は俺と違って性格がいいから、老若男女にウケがよかった。
『ハゲ』って言ってたことに焦ったけど、俺に似ないで素直でよかった・・・・・・。
その後は俺やサイトの仕事の手伝いをさせた。
大丈夫かな?って心配になるけど、アイツは不思議なことに運がよくて大抵のことはなんとかなっている。
こうして、誠は順調に一人前に成長し、嫁をもらって孫、ひ孫の顔まで見ることができた。
誠の嫁さんは白猫で美人さん。孫は四人。
俺とルチカがじーさんばーさん世代になったのは信じられない。
時間はあっという間に進んでいく。
絵にかいたような幸せな時間が続いた。
日本で心の中で憧れていたけど、手に入れられなかった幸せだ。
・
・
・
時間が過ぎて、俺は1つの棺桶に花を添える。
中に入って入るのは、エリックさんとミシェル。
朝、エリックさんがいつまでも部屋から出ない。
部屋をノックしても反応がないので、入ってみるとベッドで眠るように亡くなっていた。
そばにはミシェルがいた。エリックさんの手を握って冷たくなっていた。おそらく後を追ったのだろう。薬が近くに置いてある。
同性だが、夫婦のように仲がよかったので、一緒の棺にいれた。
最期にこの二人はどんな話をしたんだろうな。
エリックさんはもう年なのに、俺は最後までこの人に甘えていた。
経験豊富で物知りで優しくて、皆から慕われていた。葬式には全国民が集まってくれた。
この国の大黒柱だった人物を2人失ってしまった。
サイトがワンワン泣いてるけど・・・・・・気持ちはわかるが元首だろ、しっかりしろ。
と思ったが、泣いていないのは俺だけ。
あちこちですすり泣く声が聞こえた。
気がつくと、ルチカが抱き締めてくれた。
「セージ様、我慢しなくていいのよ」
我慢しているつもりはないんだけどな。
いつか死ぬのは当たり前だろ?覚悟していたさ。
俺はルチカに抱きしめて顔を隠した。
頭を撫でられた部分がとても暖かかった。
- 終章 セージside ( No.279 )
- 日時: 2015/08/16 19:22
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
獣人の寿命は人間より短い。
サイトは60歳で亡くなった。
リーダーシップがあって、獣人たちをまとめていた。
なにかトラブルがあったら、話し合いをして、時々拳で仲裁していた。
バカだけど、器はデカイヤツだった。
俺にとっては弟みたいなやつだった。時々男同士で一緒にお酒を飲んだりしていた。
メルトさんは72歳で亡くなった。面倒見がいい人だったな。誠も慕っていた。
72歳まで生きたなんて、獣人として大往生じゃないか?
よく笑って、よく歌って、すごく明るい人だった。
俺が日本の食べ物についてちょっと話したら、ほぼ完璧に再現できた。
故郷の懐かしい味を再び食べることができたのは彼女のお陰だ。
翼は50過ぎで亡くなっている。
あいつは肺をやられていた。
病気を治したが、体力が弱っていて亡くなった。
あいつの絵は評価され、高値で売られている。
特に天使が描かれたものが有名だ。俺も貰ったが、生き生きとしていて、元気そうな女の子の絵だ。
しかし、戦争の絵は評価されなかった。
もう少し時代が進めば、評価されるんじゃないかな。芸術家の宿命だ。
あいつが描いた俺の肖像画は後生大事に持っている。
評価なんてどうでもいい。俺はあいつの絵が好きなんだ。
知っている人がだんだんいなくなる。
俺の心に穴が大きくなっていくような感覚だ。
生き残っているやつは、リリナさんとレイラさんぐらいじゃないか?
リリナさんはずっとハポネにいてくれて、素敵な町を作ってくれた。
桜の木を町の至るところに植えてくれたなあ。
レイラさんは驚いたんだが、あの人は貿易をやっていた。
飽きっぽい・・・・・・良くいえば、多趣味だから知識は色々もっていたのだろう。
彼女の回りにはルイザさんをはじめ、獣人がたくさんいる。
フォルドさんはどうしているんだろうな。
戦争が終わってからも生きていて、子供もいると神から聞いたが、静かに暮らしているかな。
神はうるさいとか言ってるが、気に入ってるみたいだ。
友人として一目会いたかった。
レイズさんから「ちん*すうが旨かった」としか聞いていない。ちんすこうだ、バカ。
その後、レイズさんを通してしょーもないやり取りしかしていない。
なにをやってたんだ。もっと話すことがあっただろう。
なんで若い頃の俺はもっと素直じゃなかったんだろうな。
もっと彼らと打ち解けていればと後悔している。
ネスカも戦争を生き延びた。その後、ヘンツェルさんが山登りにハマったみたいで、一緒にのぼっているようだ。
しかし、世界一高い山を登っているときに行方不明になったとアーノルドさんから聞いた。
アーノルドさんは定年まで軍の重要な地位に就いていた。
ルチカも66歳になり、視力が弱くなっている。
誠ももう年で油断できない年齢になった。
俺は外交官をやめて、家族と暮らす時間に費やした。
まだ動けるので、できる限りルチカの手助けをしている。
しかし若い頃に無茶をしすぎたせいか、俺も胃がよく痛むようになった。
年をとるごとにルチカの側にいる時間が増えていく。
ルチカに対する愛は若い頃と形は違うが、確実に深くなっていた。
どっちが先か・・・・・・なんて考えたくない。
今は時間を大事に過ごしている。
ある日、俺はルチカと庭で桜の木を眺めていた。
桜の花は今にも開きそうで、2つほど咲いている。
「満開になったら、またあの場所にいこうな」
「ええ。今年のプロポーズ、楽しみにしてるわね」
毎年、桜が満開になると、ルチカにプロポーズした場所にいく。
そして、毎年プロポーズの言葉を言う。
時々サプライズでプレゼントをあげて驚かせることもあった。
ルチカからプロポーズされたこともあったっけ。
桜を見ていると、色んな思い出が浮かんでくる。
「お茶、淹れてくる。一緒に飲もう」
「ええ。ありがとう」
俺はルチカに口づけをして、台所へ向かった。
今年はルチカになんて伝えようかな・・・・・・。
- Re: リーマン、異世界を駆ける ( No.280 )
- 日時: 2015/08/17 06:36
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
エリックとミシェルのふたりが亡くなってしまいましたね。彼らはきっと天国でも互いに愛し合うことでしょう。エリックの後を追うミシェルの姿を想像すると、切なくも美しさを感じてしまいます。その光景がありありと想像でき、涙を流している私がいました。ルチカも獣人の平均寿命は超えていますし、セージもどうなるのか、気になります。
- モンブラン博士さんへ ( No.281 )
- 日時: 2015/08/17 21:12
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
モンブラン博士さん
そうなんですよ・・・
こぼれ話ですが何年も前から、エリックさんはミシェルに「自分が死んだら君も死になさい」と言っています。
普通の感覚だと信じられない発言かもしれません
でも二人にとってお互いの存在がない世界で長く生きていても死んだと同じと思っているのです
ルチカも越えてるし、セージさんももう80近いです
ああ、ここから先はあんまり言わないでおこう・・・
- 終章 セージside ( No.282 )
- 日時: 2015/08/17 21:21
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
桜の花は満開になった。
今の俺には花は灰色にしか見えない。
俺はルチカの棺の前で立ち尽くしていた。
お茶を淹れにいったほんの僅かな時間だった。
戻ってくると、ルチカは眠っているように見えるが、様子がおかしい。
触れてみると、呼吸していなかった。
人工呼吸と心臓マッサージをしてみたが、反応がない。
俺はルチカを抱いて急いで病院へ連れていったが、すでに息を引き取っていた。
幸せそうな顔をして、涙が一筋落ちていた。
異世界にきたときから俺の側にいた猫みたいな女の子。
ずっと俺の名前を呼んで着いてきて、俺は特別に可愛がった。
大人の都合でしばらく好きという感情を押さえていたこともあった。
結婚して、子供も生まれて、ずっと俺を支えてくれた。
俺が間違えたときは、正面から注意してくれた。
素直で優しくて、俺の心を溶かしたルチカ。
多分自覚していないだけで、最初から俺は彼女に一目惚れしていたんだと思う。
なんで若いときは変なことを気にして、素直に愛してると伝えなかったのだろう。
もっと気持ちを伝えたら、あの子は幸せになれたかもしれないのに。
かっこつけなければよかったと後悔している。
「父さん・・・・・・」
誠が俺の肩を揺する。
辺りがざわついていることに気がついた。
空を見上げると、雪が降ってきていた。
俺の魔力が暴発しているようだ。
「ああ、誠。ごめん」
と言うが、魔力の暴走は止まらない。
まあ、雪だからいいか。
雪と桜の花びらが舞う風景はどこか幻想的だった。
ルチカ、きれいだな。最期に精一杯見ような。
この雪は島だけでなく、クレイリアやルテティアでも降ってきたらしい。
俺は何をしたいという気力もなくなり、自室に籠ることが多くなった。
- リーマン、異世界を駆ける【超→感↓激↑3000!!!】 ( No.283 )
- 日時: 2015/09/06 14:14
- 名前: 佐渡林檎 (ID: Xr21cKIW)
ああああああああああああああああルチカちゃぁぁあああん!!
すみません取り乱しました。
覚えているのなら有難い佐渡です。
翼君やサイト君が亡くなった時からコメントしたくてしょうがなかったのですが、遂に爆発しました。
うわぁあぁぁあああああああ!! 涙が……。
今「メリュー」という曲を聴きながら見ていたのですが、涙が溢れてしまいました。
桜と雪……美しい最期でしたね。
すっかりファンになった佐渡です。
きちんと最後まで見届けます。頑張って下さい。
- 佐渡林檎さんへ ( No.284 )
- 日時: 2015/08/17 23:08
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
もちろん覚えていますよ!
感想をくれた方は忘れない!
私のキャラを見てくださったり、感想をくれてうれしかったです
さらにファンになってくださるなんて、感無量です
このシーンを書くとき、書いている自分さえ涙を流していました
花が散らない世界があったらどんなにいいだろうか(花が散る世界より)
メリュー、解釈も含めて見ましたが、いい曲ですね
リーマンのほう、本編は水曜日に終わる予定です
あとがきちょろっと書こうかと考えています。
もうちょっとだけ、よろしくお願いします
セージさんも、もうちょっとだけ頑張ってください
- Re: リーマン、異世界を駆ける【超→感↓激↑3000!!!】 ( No.285 )
- 日時: 2015/08/18 02:23
- 名前: HIRO (ID: q9W3Aa/j)
どもっす
ルチカが逝ったか、幸せな人生だったな。
セージはこの後どうするのかな。
雪と花、月も揃えば。
日本で有名な代名詞、雪月花となるな。
フォルドは戦争の後スヴァボーダの面々と
馬鹿やりながら笑って生きてんのかな。
フォルドも二児の父親なら賭け事も止めて真面目に
いや、真面目ではなさそうだな。
直接でなくとも戦争に介入した戦争帰りの人間が
まともな職には就いてないだろう。
自営業的な探偵業や興信所の様な事だろう。
旅をしてきたから、知識や見識も高く。
各方面へ人脈があり、戦争帰りだから腕っぷしは言わずもがな
まぁ、戦争帰りで怪我の後だらけのおっさんだからなぁ。
そこらへんは多分自分で書いてみたいとも画策した。
本編終わった後も続く外伝ってw
- HIROさんへ ( No.286 )
- 日時: 2015/08/18 20:57
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
こんちは、HIROさん
とうとうルチカも亡くなってしまいました。
子供も孫もいるし、リリナさんも生きている
でも、セージさんにとってはもう何も考えられないわけで
フォルドさんは全く死ぬときが想像できなかったんです
でも、嵐のようにやってきて、嵐のようにってのが彼らしいかと
フリーダムとスヴァボーダを一つにして、国の再建をやってそうですね
リーマンは戦わない。王道ではありません
フォルドさんのほうが王道的な役割を持ってくれました。
クレイリアとルテティアはめちゃくちゃです。
広がる格差。
貧しい人間は奴隷。捨て子問題。そして、人の心につけ込む怪しい宗教。
セージも法律で何とかしようと思ったのですが、いたちごっこです
本編が終わった後の外伝、いいですね!
お任せしますよ
お手伝いできることがあったらします
- 最終章 セージside ( No.287 )
- 日時: 2015/08/18 21:58
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
自室の窓から町の様子を見る。
孫が訪問客の対応をしているようだ。
訪問客は手土産を渡して、俺の自室に向かってお辞儀をして立ち去る。
俺は右手を上げて応じた。
俺を心配して毎日5人は来るんだよな・・・・・・。
俺はそんなたいそうな人間じゃないってば。
誠の息子が元首に当選した。
誠も過去に元首に当選している。
三代渡ってすごくね?
大丈夫かな、俺の孫って肩書がついて回るからさ。
ま、あいつなら大丈夫だろうと思う。
ハポネの人はみんないい人だから。
俺はなんとなく外に出て、町の様子を見に行ってみた。
皆は俺を見かけると、挨拶する。
体調を気遣ってくれる。
俺はもう表舞台から引退したのに、まだ慕ってくれる。
そして、公園のベンチに座った。
桜の花は全て散って、緑の葉がみえる。
ハポネの経済は安定している。
なのに悪いやつもいない。皆で支えあっている。誰かを貶めようとかしない。
トラブルといっても、喧嘩ぐらいだ。
皆はよく働くし、規律を守っている。
クレイリアもルテティアもマシにはなっているが、まだまだ不安定だ。なんでお互いいがみ合うかな。
もの思いに耽っていると、桜の花びらが目の前に落ちた。
まだ花はあったのか?と思って見上げると
ルチカがそこにいた
出会ったときのままの姿で。
桜色のワンピースを着て俺の前に立っていた。
「隣、座っていい?」
俺は慌てて頷いて、少し隣にずれた。
近くでよく見ても、人違いではない。
「どうしたのぉ」
ルチカは笑って、俺に口づけをした。
いつもの柔らかい感触だ。
「びっくりした?」
俺は頷く。涙が溢れてきた。
今まで涙なんてほとんど出なかったのに。
ルチカは優しく抱き締めてくれる。俺がするべきだったのに。
俺はルチカの胸で声を出して泣いた。
「セージ様、いっぱい頑張ったわね。みんな感謝しているわ
幸せにしてくれてありがとう」
そう言ってもらえて嬉しい。
頑張った甲斐があった。
「さ、いきましょう」
これがどういう意味かわかった。
もういいだろう。
この世界は俺がいなくても、大丈夫だ。
「待って、これだけは言わせて」
俺はルチカ前で方膝を折る。
体が若い頃のように軽い。
「死んでもずっと一緒にいてください」
ルチカはニッコリ笑って、俺の手を取った。