複雑・ファジー小説

Epilogue ( No.288 )
日時: 2015/08/19 21:01
名前: yesod (ID: ZKCYjob2)

[Epilogue]

お祖父様、お父様、そして僕が元首に選ばれた。
お祖父様はこのハポネを創った人だと学校で習った。
獣人も人間も差別がない楽園のような国だ。
僕らもお祖父様と周囲の人たちのために国を守らなければならない。

ある日、いつものように仲間と書類仕事をしていた。
今年の農作物の収穫量は去年よりも少し多くなっている。
年々収穫量は増え、できることも増えている。
リードマン商会から外の様子を聞いているが、外の人たちは不便な生活を強いられているようだ。
僕らも食糧や技術指導以外で手助けできることがあればいいな。

桜の花が部屋の中に入ってきた。
「珍しいなあ。もう全部散ってしまったのに」
周りの人たちもうんうんと頷く。
窓の外を見ると、桜の花びらが舞っていて、遠くに虹がかかっていた。

嫌な予感がする。

そのとき、一人の女性が慌ててやってきた。
「公園に急いで向かってくださいませ!セージ様が・・・・・・」
辺りがざわつく。
僕は誰よりも早く、駆け出した。
作業を途中で投げ出してしまった。



おばあ様、お祖父様を連れていかないでください。
まだ教えてもらうことがたくさんあります。
お祖父様がいない世界で僕らはどうすればいいですか?
あの方はこの国には必要な方なんです。



桜の花びらが舞う中、僕は公園へ必死で走った。