複雑・ファジー小説

Re: タビドリ ( No.39 )
日時: 2016/02/10 18:31
名前: 月白鳥 ◆8LxakMYDtc (ID: E8T1E3Rb)

【用語集 No.1】
※ 本編中で連呼される確率の高い用語の解説。
※ 裏設定をちょろっと含みます。

<Book-1/Page-1>

・ 智獣 (ちじゅう/Intellectual beast)
 人間が食物連鎖の頂点から去った後に台頭した者達。獣の感覚と人間の知性を同時に併せ持つ動物達。獣人と呼ばれることもあるが稀な用法である。
 エディ達が旅する世界で生きる者のほとんどが智獣であり、人間と同じような文明を築いて生活している。人間よりも文明の水準は下位。

・ 守神 (もりがみ/The Preserver)
 神と呼称される概念の代行者。あらゆる場と概念に住み着き、その秩序を維持する者達の総称。人間の間で「幻獣」とか「妖精」、「精霊」と呼ばれていた者達は大体これに属しており、その形態や性格は実に様々。
 比類なき絶大な権力と魔力を持つ代わりに、それらが振るえる範囲(支配圏)は概ね決まっており、その範囲から逸脱した場所では極端に行動が制限される。あまりに範囲から外れすぎると存在する意味を失って消滅するとも。

・ 『遺物』(いぶつ/Black-box)
 人間が遺した技術の跡、或いは悲劇の痕。人間が創りだしたものの内、智獣達が築いた文明より遥かに高度な技術を以って作られたものを特に『遺物』と総称する。
 『遺物』の種類や用途は様々。大抵は細々とした日用品が散発的に見つかるだけだが、ある一か所で物騒な兵器が大量に発見されることもあり、所有権を巡る戦争が絶えることもない。

・ 魔法 (まほう/Wizardry)
 この世界の理を一時的に書き換え、起こし得ないものを起こす技術。または起こった結果そのもの。
 木と宝石を組み合わせた杖を依代に、守神の力と支配圏を借りて使うのが一般的。自然現象の範囲に収まる=力を借りた守神が起こせる範囲ならば、大体どんなことでも出来る。ゆるゆる。

・ 魔力 (まりょく/Charm)
 この世界を形作る力の内、あらゆる確率を超越し操作する“可能性”の力。魔法を操る際に消費される力の一つ。世界の理に触れる為の鍵。
 この世界のありとあらゆる物質に含まれており、持てる限界量はその物質が構成された瞬間から既に決まっている。どう言う訳か生物には特別に多い。ただし、周囲から魔力を集めて貯める性質を持ったものもあり、その場合は膨大な魔力を秘めていることも。
 無秩序で大雑把、混沌とした力であり、そのまま扱うことはほぼ不可能。魔法の呪文や杖はこれを統率し制御するための目印である。
 人間はこの力が何たるかを把握していたようだが、紆余曲折の後、その知識は喪われた。

・ 魔法使い (まほうつか-/Wizard)
 魔法を使う者達の総称。智獣達の中でも特に六感に優れた、より守神に近しい者達。『魔導師(まどうし)』は役職とするときの格式ばった表現。
 基本は生まれ持った魔力の量や質が全てを決める世界だが、強い魔力を発するものに触れ続けることで突然魔法使いの素質に目覚めることもあるらしい。

・ 天秤座商船 (リブラベッサー/Libra Vessel)
 エシラが所有する高速航行船。元は普通の蒸気船だったのだが、エシラ以前の何処かで『遺物』による魔改造が施された。
 最大の特徴は「砲弾の如く」とも称されるほどの航行速度の速さと、「難破船だってあんなに揺れない」と揶揄されるほどの激しい揺れ。安易に同船すると水恐怖症になるほど船酔いする。

・ “疾風”アエロー (“しっぷう”-/"Gales" Aello)
 かつての英雄を英雄たらしめた、守神の名を冠する純白の飛空艇。「隼より尚速く、鷹より尚優雅に飛ぶ」と猛禽に言わしめた前時代の怪物。四十年前に動力炉の暴走による墜落事故を起こしている。
 形はSIAI S-21にそっくり。ただし、地上にも降りられるよう引き込み式の脚が付いている他、荷物を入れる為の貨物室がかなり大きめに取られている等、差異は多い。定員は二名。
 一日中でも飛び続ける耐久力と猛烈な馬力を兼ね備える冗談のような高性能機。同時に、「劇毒」とさえ称される危険な物体を燃料に飛ぶ危うい船でもある。
 何かと深い闇を抱える謎多き『遺物』。

・ 魔燈鉱 (まとうこう/Glow gem)
 魔力に反応して光を放つ特殊な鉱物。結晶構造や性質は水晶に似る。
 強い魔力を帯びた土地でしか産せず、しかも成長の遅い希少な岩石だが、魔力に反応することと魔力を溜め込むこと以外には際立った特徴を持たないため、単体での利用価値は手軽な照明くらいしかない。
 真に価値があるのは、むしろ他の鉱石と混じり合った『魔燈鉱入り貴石』の時。このときは魔力をある一定の方向へ整列させる“羅針”としての働きを持つ。