複雑・ファジー小説

Re: ラージ [夢だからこそ、出来ることがある〕 ( No.16 )
日時: 2015/04/08 16:08
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: .1MHnYLr)

 そうこうしているうちに、いつの間にか学校に着いてしまっていた。
 いや、学校に着くこと自体はいいのだけれど、問題は、来るまでにかかった時間だ。
 僕の体内時計は、いつの間に狂ってしまったんだろう。普段、家から学校に行くまでにかかる時間は十五分弱、走っても九分程かかる。それが、これほどまでに、一瞬に感じてしまうものなんだろうか。
 時計を見ると、七時五十八分だった。
 前走った時よりも一分速いけど、それでも、少なくとも七分間は走り続けたことになる。
 でも僕は、全くと言うほど息が切れていない。普段通りの呼吸だ。
 なぜだろう。頭に大きな疑問符が浮かぶ。
 しかしその疑問は、学校のチャイムにかき消され、解決しないままに取り残される。
 とうか今はそんな言葉遊びをしている場合じゃない。このままじゃ遅刻だ!

 でも結果的に、僕が遅刻することははなかった。
 学校には、誰もいなかった。


「……まさか、休校日だったとは」
「災難だったな」
 自分も間違えて来てしまったくせに人ごとのように何食わぬ顔で呟く彼は、僕のクラスメイトであり、友達でもある、岡田健治だ。細身だけど筋肉質で、黒髪短髪。鋭い目つきに細い黒ぶち眼鏡。
 目つきの悪さを除けば、外見だけはどこにでもいそうな男子生徒だ。
 でも彼は、例えるなら、雨の日に傘を使わずに折りたたんだ状態で持ち歩く人だ。
 なんでこんな例え方をするかと言えば、この前、実際にやっていたからだったりする。
 とにかく、なんだか、よくわからない感じの人なんだ。変人、とでも言うべきか。
 その言葉を使うならば、僕の学校は変人で満ち溢れてる。でも僕は、その人たちに対して、変人なんて言ったりしない。それは、もちろん失礼だから、という理由もあるけれど、やっぱり、僕が人をその言葉で括るのが好きじゃないから、と言うのが大きいんだと思う。