複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ(500参照突破感謝!) ( No.107 )
- 日時: 2015/04/23 19:41
- 名前: ユッケ (ID: uj1WcIuh)
「チッ! 蛇め…油断ならねぇ!」
「っ…ぅ…」
崩れた鉄材の中からバジリスクがフラフラと立ち上がる。
野上 鉄次は再びバジリスクの腹部に座標を設定し、衝撃を放つ!
しかし、バジリスクは野上 鉄次の能力におおよその予想が付いている為、瞬時に身をかわし、ジグザグに移動しながら野上 鉄次に迫る!
「まだそんな動きが出来るのか!?」
まるで黒い風! バジリスクの動きに座標を設定しきれず、接近を許す。
「ハァッ!」
「くっ!」
肉弾戦、拳、足、頭、肘、膝、能力ではなく、人と人のぶつかり合い!
力こそ女の子だが、スピードやキレ、経験の差はバジリスクが圧倒的に上!
接近戦の喧嘩はバジリスクが攻勢で、野上 鉄次は防戦一方となった。
バジリスクのスピードは速く、反撃しようものならカウンターを決められてしまうだろう。
彼女には、攻撃の際に生じる隙をカバーするスピードがある。
必然、野上 鉄次には防御と回避以外の選択肢が無かった。
「せやぁッ!」
「———!!」
バジリスクの放った横薙ぎの蹴り!
野上 鉄次はバックステップでギリギリかわす!
この蹴りを瞬時にかわす事が出来たのは、この瞬間を待っていたからである。
バックステップで蹴りをかわした瞬間に座標を設定!
「うッ! グハッ!!」
少女の体が宙に浮き、背中から地面に叩きつけられる!
ただの喧嘩ならば、バジリスクが必ず勝っていただろう。
その圧倒的な差を埋めたのが能力だ。
「お前らソイツを抑えろ!!」
野上の命令でデビルアクトのメンバーがバジリスクをうつ伏せに抑える!
さすがのバジリスクも、何人もの男に組み伏せられては抵抗出来ない。
「チィッ! 腕に痣が出来ちまった。ふざけやがれこのアマ!!」
激昂する野上が、バジリスクの頭を踏みつける。
「おい、“一本”持って来い」
手持ち無沙汰なメンバーに何かを持ってこさせる。
一本と数えられたソレは、形状などを誤魔化すためにそう呼ばれている。
そう、ドラッグパワーが入っているプラスチックケースだ。
「そこら辺の鉄釘でテメェの目をブッ刺してやろうかとも思ったが、こいつで終わらせてやる!!」
パワーの入ったケースを、持ってきたメンバーからぶんどるように掴むと、ケースの蓋を開け、中から大量に錠剤を取り出し、手に握った。
「パワーは無能力者専用だ。能力を発現させる薬だからな。だが、能力者に使うと一体どうなるか、考えたことあるか?」
野上は踏みつけているバジリスクの頭を擦るように、グリグリと足を動かす。
「ぅ…ぐぅ…」
「能力ってのは自分に危害を加えない。
俺の能力の衝撃を俺自身に加えても骨は折れないし痛みはない。炎を操る能力者がいたとして、自分で操る炎が身を焼く事はない。
お前もそうだろ? 鏡に向かって自分にライターの火チラつかせながら能力使っても、何にも起きねぇだろ?」
「フン、何が言いたい…」
「能力者にパワーを与えると、能力が暴走して死に至るのさ…。実験済みらしくてな、物質を破裂させる能力者に投与したところ、投与された能力者の体が花火みてぇに破裂したそうだ」
そう言って野上はニタリと、怪しく口角をあげて嗤う。
「…………」
「怖いか? 怖いよな? 俺は楽しみだ、お前の能力がどう暴走してお前を殺すのかがな」
「やってみろよ…ただし、指の二、三本は喰いちぎってやるッ!」
「ハッハッハッハッハ! やってみろ! オラァ! 口開けろ!」
野上 鉄次がバジリスクの髪を掴み上げる。