複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ(参照1000突破感謝!) ( No.121 )
日時: 2015/05/27 20:36
名前: ユッケ (ID: 7aCRDkL4)

いつもと同じ、皆と一緒に夏を過ごしている。

僕の周りの環境は大きく変わったと思う。

今でも超能力を使う時には、嫌なことを思い出したりもするけど、皆がいてくれるから大丈夫だ。

そんな事を考えていると、ふとみよりと視線が合った。

「みよりは夏休みの予定ある?」

「いえ、特には……」

いつもの元気が感じられない、何かあったのだろうか?

「どうしたの? 何かあった?」

「宮本は、早く大人になりたいですよ」

みよりは中学生だし、確かに大人への憧れを抱くことがあるのかもしれない。

僕もかっこいい大人になりたいって思ったこともあった。

きっとそんな感じで、成長期特有の悩みなのだろう…僕もまだ高校生だし、大人になれるのはまだまだ先だ。

「大人か〜、かっこいい大人になりたいって僕も思うよ」

「宮本は先輩みたいに悪い人達に向かっていく勇気は無いです。レイラ先輩のように超能力を使う事もできません。宮本は落ちこぼれなんですよ」

みよりの悩みが見えてきた。

大人というのは比喩で、超能力者でありながら強能力程度の力しか出せない自分が嫌なのだろう。

「私、ずっと先輩の後ろで隠れているだけで、何も出来なかったです。怖くて、先輩が撃たれそうになった時も…」

「あの時はごめんね。とんでもなく危険な事に皆を巻き込んじゃって」

「違うんです! 宮本はもっとお役に立ちたかったんです!」

みよりの突然の大声に、皆が何事かと集まる。

僕が皆にわけを説明する。

「大丈夫だよみよりちゃん。私だって何も出来なかったし」

「全部このアホが悪いのよ、宮本が気にする事じゃないわ」

「で、でも……宮本も先輩達のようになりたいですよ」

「みよりもいつかは超能力が使えるようになる日が来るだろうけどさ、今じゃなくていいんだぜ? 今はアタシらに甘えてていいんだよ」

「宮本はそれが嫌なのでありますよ」

「前回の一件のような事件は普段の生活上無い事です。あんな特殊な状況下で役に立つ立たないなんて、誰も気にしません。それこそ、チビうさが敵をサンダーボルトして一掃したとしてもです」

「ま、そういう事。遅いか早いかの違いであって、アンタは超能力者なの。自信を持ちなさい、宮本。私は、アンタに一目置いてるわ」

「レイラ先輩……。うっす! 宮本はいつかスーッゴイ超能力者になるでありますよ! ご心配をおかけしてすみませんでした」

「みよりが元気だと、僕達も元気になるよ。みよりは笑ってる顔が可愛いからね!」

「へ?! か、可愛いでありますか?! うは〜〜〜」

みよりのツインテールが激しく動いて、顔が真っ赤になっている。

案外照れ屋さんなのかも?

「うわっ! あいつまたヒロイン落としやがった」

クミが何か言っているけど、僕の耳に入る事は無かった。

なんて言ったんだろう? 気になる……。