複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ(参照1000突破感謝!) ( No.134 )
- 日時: 2015/06/21 22:42
- 名前: ユッケ (ID: syXU4e13)
朝食を終えて、食器を洗って一息つく。
みよりにはジュース、僕はコーヒー。
「うむぅ、自信はあったんですケドね〜」
「みよりは体動かす方が得意なんじゃない?」
「うい! 赤菜先輩にたまにダンス教わっているですよ! 他にも、動画とか見て勉強中です!」
「そのうち見せてね」
「はい!」
今日は1日家に引き篭もっていようかとも考えたけど、それでは状況は変わらないし、余計な事を考えてしまうかもしれない。
だから、今日はみよりと一緒にお出かけする事にしよう。
というわけでお昼が過ぎた頃、僕とみよりは手を繋いで、街へと繰り出した。
「なんだか、お兄ちゃんができたみたいで嬉しいでありますよ! 祐先輩は兄弟はおられないのですか?」
「うん、僕は一人っ子だよ。だから、みよりが妹みたいに思えちゃうよ」
「はいはーい! ではでは! 宮本は今日から祐先輩の妹という事で! お兄ちゃんと呼ばせて頂くでありますよ!」
「ぐはぁっ!?」
お兄ちゃん……なんという破壊力!
完全妹属性のみよりがその単語を発する事によって、効果は倍! 更に倍! ドン!
「どうしたでありますか? お兄ちゃん?」
「だ、ダメだ。照れくさい……呼び方は今まで通りでお願いします」
「むぅ、ではお兄ちゃんという認識だけという事で」
そんなこんなで、みよりは元気な笑顔を見せてくれた。
小物屋でアクセサリーを買ってあげると、目を輝かせた。
昨日の事がまるで嘘のように、みよりは元気だ。
時間は17時頃、陽が沈もうとしており、空が赤みがかっていく……。
公園の時計台から流れるメロディーはパンザマスト。
「なんでありますか? その…パンダマスタード」
「塗らないで! パンダにマスタード塗らないで! じゃなくて、パンザマスト。夕方5時に鳴る、もう帰りましょうの合図の事だよ」
「……まだ……帰りたくないです…」
「でも、暗くなると危ないし」
「宮本が……子供だからですか?」
「違うよ、僕はただ———」
「違わないっ!! …私1人が子供で、皆に守ってもらって、対等じゃなくて、先輩がいないと何もできなくて、私は……まだ子供な自分が嫌いです!」
「みより!?」
みよりは、その場にいることに耐え切れなくなり、走り去ってしまった。
みよりが走っていくその瞬間、咄嗟に手を掴もうとしたが届かなかった。
「追いかけないと!」
みよりは泣いていた……。
抱え込んでいた……心の成長と、体の成長……。
そして…………超能力。
絶対に、今みよりを1人にしちゃいけない!
なのに……! みよりが渡りきった横断歩道の信号が無情にも赤に変わり、僕の追跡を妨げる!
「嫌な予感がする! 早く変われよ!」
8月7日。宮本 みよりに連絡がつかなくなる。
8月8日。宮本 みより行方不明。
8月9日。宮本 みより行方不明。
8月10日。宮本 みより行方不明。
8月11日。宮本 みより行方不明。
8月12日。宮本 みより行方不明。
8月13日。宮本 みより行方不明。
8月14日。宮本 みより行方不明。
そんなの…絶対に認めない!!