複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照1500突破感謝!オリキャラ募集! ( No.140 )
日時: 2015/07/09 00:25
名前: ユッケ (ID: Xr5Y0osE)

第五章
■悪逆無道■




僕はもう既に出会っていた……絶対に出会ってはいけない人と…。

「鷹東 キリエだ。よろしくな。異端の超能力者、三好祐」

「知っているんですか? 僕の事…」

「知っているさ、全てな」

「じゃあ、あの時…デビルアクトのアジトに案内してくれたのは…狙って…」

「そうだ。パワー、デビルアクト、バジリスク、三好祐、全て知った上で案内した」

「……そうか…やはりお前が!」

ここまで黙っていた千香が眉間にシワを寄せてキリエを睨んだ。

「なんの話だ?」

「東の旧市街にあるアンティークショップの主人が殺された事件……そいつは裏で違法に拳銃を売り捌いていた。三好、お前が撃たれそうになったあの銃だ」

「野上 鉄次が持っていた銃!」

「そうだ、あの時三好が弾き飛ばした銃を回収したのは誰か……お前じゃないのか? キリエ…」

そうだった…僕達はあの時、現場にやって来た凛人さん達に銃の事は話していない……。

その銃は今、どこに……答えは簡単だ。キリエが持っているのだ。

「さぁな」

「とぼけても無駄だ! お前は三好達を案内した後、息を潜めて“この写真”を撮り、銃も回収して出所を調べて店主を殺した! そうだろう!」

「写…真…?! まさか…!」

デビルアクトのアジトでの“写真”

つまり……あの写真……。

僕達の後姿を撮った写真……。

「これだ、ネットに流された例の写真だ」

間違いなく、僕達の日常を破壊し、みよりをどん底に叩き落したあの写真だ。

ということは…つまり……!

「湯ノ沢さんに情報を流した…………第三者は…あなただったのか…」

まだそうと決まった訳じゃない…でも、繋がる…。

もしそうだとしたら…殺人を犯し、情報をばら撒く所業…。

この男は、正真正銘の外道だ!

「殺された店主の傍らには、この煙草が落ちていた。この銘柄はお前が今も吸っているものと同じだろう? そいつは一等気分が悪くなる臭いのする煙草だ」

「憶測だけでモノを言ってくれるな、バジリスク。今日の俺の予定にお前と会う予定は無かったんだがな…………面倒だ、三好祐、お前には忠告しておく事がある。
今日はそれを伝えに来た」

「あなたの言う事を信じろと?」

「あのロシア人……レイラと言ったか? ヤツには気をつけておいた方がいい」

「え?」

「バカ! 耳を貸すな!」

「くっくっく、ではまた会おう」

僕はただ、闇の中に消えるキリエを呆然と見ているだけだ。

(レイラに気をつけろって……なんなんだ……いったい…)