複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照1500突破感謝!オリキャラ募集! ( No.161 )
日時: 2015/08/13 11:05
名前: ユッケ (ID: bJEvzJQ7)

それから、レイラと一緒に時間までゆっくり祭りを周って楽しんだ。

8時からは花火が夜空に上がる。

僕達は溜り場という特等席で花火を見ることにしているのだ。

会場からは少し距離があるが、歩いて溜り場へと向かう。

溜り場の廃ビルに着き、長い階段を上っていく。

屋上の重い扉を開けると、涼しい風が歩いて火照った体を冷やした。

「おーい! 祐ー! レイラちゃーん!」

僕達に気づいた音羽が手を振っている。

どうやら僕達が最後らしい。

だからこれで全員集合。

「花火は川辺から上がると思うから、きっとあの方角ね」

「何発くらい打ち上がるんでしょう?」

「1万発って聞いてるわ」

「1万でありますか!? うっはー! 楽しみであります!!」

「数えてみるか!」

「絶対ムリだと思うよ」

「花火が全部イカの形してたらカッコイイと思いませんか? あと宣伝効果もあって最強」

「いや、花火だから。ファイアーフラワーだから」

ワイワイとはしゃぎながら花火開始の時間を待つ。

暫くすると、夜空を登る光の線が一瞬見えた気がして、そっちに顔をやる……すると夜空に大輪が咲き、破裂音が後から聞こえて来た。

「始まったよ!」

次々に咲き乱れる光の花が、夜空を明るく照らし出す!

色も鮮やかで種類もたくさんある。

花火のあまりの迫力に、言葉で表せないくらいの感動が押し寄せる!

皆と見ることができて本当に良かったと心底思う。

皆と出会った……皆が僕に居場所をくれて、皆がここを居場所としてくれた。

絆・夢・人格・家族・闇・成長・重圧

色んな事があったなと振り返る。

もしかしたら、ここがゴールなのかもしれない……。

もしそうだとしたら、この花火は祝福の…………———




「ねぇお兄さん……」

「!?」

聞き覚えの無い声に驚いて振り返る!

ここは僕達しか知らないはずの場所。

僕達以外が、なんでここにいるんだ。

その少年は深々と被った帽子を少し上げて、片目だけを覗かせ、僕の目を捉えて唱えるように言う。

「見ぃてよ…!」