複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照1500突破感謝!オリキャラ募集! ( No.170 )
- 日時: 2015/09/05 18:05
- 名前: ユッケ (ID: PGRsk35G)
(キヒヒ、ありゃ駄目だね。完全に入っちゃった。キヒ、よくもまぁ“そんな事”でそこまで怨みつらみを溜め込むことが出来るねぇ。僕には分からないよ。
この場はまぁ、神矢に適当に痛めつけてもらって、後で連行するのがいいかな。キヒヒヒヒヒヒヒヒ)
百目鬼 大地(ドメキ ダイチ)は攻撃的な能力の持ち主ではない。
ゆえに適当に離れた場所から九十九とレイラを見ているのだ。
超能力者同士の戦いに巻き込まれたくないというのも、本音の1つだ。
「お前が日本語を読めるようになるまでは、俺が一番だった! そう、中学に入る頃まではだ! それからだ! 俺がこの怨みを溜めてきたのは!」
レイラはダメージの残る体をなんとか動かして、九十九からの攻撃を避けている。
体育の成績もレイラは一番だ。
男子には引けを取らない。運動のセンスは抜群だ。
「知らないわよっんな事! 私は一番を譲らない!」
そう言って隙を見て超能力を発動しようと構えたその時だった。
距離をおいて観戦している百目鬼が怪しく笑ったのを、レイラの視界が捉えた。
「キヒヒ、さっきみたいに超能力なんて使っちゃったら、大事な彼が廃人になっちゃうよ〜? キミがいいならいいんだけどさ、キヒヒ」
「卑怯者っ!」
「隙だらけだぜ!」
瞬間、注意の逸れたレイラのボディーに九十九が蹴りを入れる!
「ぐふっ!」
激痛と吐き気に膝を折って倒れそうになる。
続けざまに来た二度目の蹴りは、何とかガードし地面を転がって逃げた。とはいえガードした腕が痛む。
「まだだ、もっとだ、俺がずっと受けてきた屈辱はこんなもんじゃねぇ!」
「そんな事の為に……わざわざ…デビルアクトのアジトまで…連れて来たのね……バカじゃないの?」
「そんな事、そう、誰もがそう思うだろうよ! 努力もしてる。成績の為にあらゆる努力をだ! でも届かねぇ、そんなお前が憎くてしょうがねぇ!
ロシアから日本に来て、俺から一番の座を奪ったお前が! 俺は憎い!
日本で一番を掲げるのは俺だ! 一番はこの俺だ!!!」
「知りもしないで……簡単に……言うんじゃないわよ……一番なんて…言ってんじゃねぇよ……一番の重みも知らないくせに、軽々しく一番なんて言ってんじゃないわよ!!!」
轟音を立て、地面がまるでビスケットを叩き割ったかのように割れ、めり込み、揺れる!
超能力。
レイラは重力を操作する超能力者だ。
本気になれば、地面を割る事も、ビルを倒壊させる事も出来る。
その本気を人智を超えた力でかわしているのもまた、超能力。
空間を裂き、その中へ能力が飲み込まれる。
それが超能力。
日本に10しかいない、能力者の頂点の力!
「潰せなくて残念だったな。おかげで歩きづらくなっちまった。地面がボコボコだ。大砲を何発もブチ込んだみてぇに穴だらけだ」
「キヒヒ、そんな能力使っちゃって、彼がどうなってもいいんだね?」
使ってしまった超能力。
レイラは三好 祐を人質に取られている。
迂闊な事は出来ないはずだった。
「後悔しても遅いぜレイラ。百目鬼、やれ」
九十九は思った。これでレイラの絶望に満ちた顔が見れると。
泣き、後悔し、懇願するそんな顔を見る事が出来るのだと……。
「キハハハハハハハハハ! 今頃彼は植物のようになっているかもだねぇ! キハハハハハハハハハ!」
感情の崩壊。
三好 祐に埋め込まれた感情の種が、連鎖し、爆発し、呑み込まれる。
想像出来ないわけではない、レイラは、毅然とした態度でレイラは顔を上げて言った。
「だから何? 知った事じゃないわね! これで人質はもういない。アンタらぶっ潰すだけよ! クソ野郎!!!」