複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照1500突破感謝!オリキャラ募集! ( No.175 )
日時: 2015/09/13 15:02
名前: ユッケ (ID: PGRsk35G)

■1番の重み■




地面が捲り上がり地形を変え、倉庫は半壊しなおも音を立てて崩れている。

「チィッ! バカスカ能力使いやがって!」

神矢は能力のおかげでダメージこそ無いものの、劣勢なのであった。

「潰れろ! 潰れろォ! 私の前から未来永劫消えなさい!!」

一方で重力、無重力を巧みに操り、神矢を翻弄するレイラ。

キレる頭と瞬時に閃く発想、加えて運動能力。

全てにおいて神矢を圧倒し凌駕している。

(神矢が圧倒されるなんて、計算外だな。もっと計算外なのが、レイラが人質をあっさり見捨てた事だ。
もしかしたらコイツ、ヤバイのかもしれない)

観戦している百目鬼はレイラに対して畏怖のようなものを感じていた。

「クソッ! あっさり人質見捨てやがって! お前地獄で怨まれんぞ!」

揺さぶりのつもりで発した言葉に、レイラの表情が一瞬反応する。

神矢はそれを見逃さず、効果ありと思い更に畳み掛ける。

「1位様は本当にドライだな。そりゃ友達もいないわけだ。三好 祐だったっけか? かわいそうにな、事実上死んでるようなもんだぜ!」

立ち止まって顔を伏せるレイラ。

その頭上に空間の裂け目が現れる!

(バカが! テメーの能力で潰れやがれ!!)

裂け目から勢いよく降り注ぐ超重力の滝!

しかし、レイラは平然と立っている。能力で重力そのものを操る超能力者のレイラが、この程度の重力を無力化する事は容易いのだ。

そして顔をゆっくりと上げる。

その目は酷く冷め切った目で、なんとも思っていない目だ。

「いいわよ、三好がどうなろうと知ったことじゃないわ。私には私の目的がある。それを邪魔する障害なら、いくらでも殺してやるわよ。
アンタも殺す! そうね……頭を潰せば三好のようになるかしら? アッハハハハハハハハハハハ!」

他人の命など虫ケラ以下!そうとでも言うように、レイラは高らかに嗤ってみせるのだ。

「こ……の……っ! イカレアマがぁああああああああ!!」

「神矢! そいつマジでヤバイ! もう使っちゃえ!!」

「分かってんだよ! ちくしょう!! よく分かった!
 分かっちまった! 俺の力では奴に勝てない事が分かっちまったチクショオオオオオオオオオオオオ!!!」

咆哮し、空間を引き裂く神矢!

「潰して! 殺して! 内臓と血をぶちまけて! 肉クズになるまで地面とキスさせてあげるぅううううううううううう!!!!」

超重力が空間の裂け目に吸い込まれていく。

キャパシティオーバーが存在するのか、レイラの超能力が神矢の超能力を圧倒的に凌駕したからか、空間に更に亀裂が走り、重力が漏れ出した!

「ォオオオオ! 間に合え! 幽触(ゴーストタッチ)!!」

亀裂が広がる空間の裂け目から、青白い手のようなものがレイラに向かってスッと伸びてきた!

明らかに別の能力! 空間に奥の手として、別の能力者の能力を入れておいたのだろう。

レイラは瞬時に重力のターゲットを青白い手に切り替え、自分を守る!

だが、その手は重力の滝をすり抜けて、レイラの心臓を掴みちぎるように胸を貫通していった。

奇妙な感覚、気色の悪い気分と寒気……心臓は、動いている。だが、体は動かない!

(何……コレ? 声も……出せない! 息も……しづらい! くる……しい!)

レイラの吐き出すような荒く短い呼吸が静かになった夜に響く。

「終わりだ……イカレイワン!」

レイラの頭上に現れる空間の裂け目! 超重力が降り注ぐ!

(私に重力は効かな———!!)

レイラはそのまま押し潰され、動かせない体では受身を取ることも出来ずに、ただ地面に顔と体を叩きつけた。

(能力が……使え…ないっ!?)