複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照1500突破感謝!オリキャラ募集! ( No.182 )
日時: 2015/09/24 19:25
名前: ユッケ (ID: ySP8nr/s)

「言い忘れていたが、鷹東キリエ。お前には殺人の容疑もかかっている。旧市街のアンティークショップの主人が殺された件だ」

地面に転がっているキリエが鼻血を手の甲で拭きながら不適に笑いながら言う。

「ぐっ! フフッ……どうだかな?」

「し、信じられん……キリエが地に転がっている」

バジリスクは見た事が無い。いや、闇に住む誰もが見た事が無いのだ。

キリエが地に転がり血を流している姿を……。

「大丈夫? 千香ちゃん」

「ああ、まだ痛むが、もう大丈夫だ」

(姉御! 姉御!!)

バジリスクと三代の脳内に突然声が響く。

「小春か、どうした」

別行動を取っていた小春から連絡が入ったのだ。

このテレパス能力は木戸 録の通信。ここに来る途中、小春はバジリスクから命を受けていた。その役割は、木戸 録を溜り場へと案内する事で、状況を伝えてもらう事が目的だ。

(あ〜もしもし、木戸 録です。三代目、無事ですか?)

(ええ、凛人も来てくれたから)

(そうですか良かった。バジリスクさんもそこにいますね?)

(ああ、聞こえている)

(三好君が目を覚ましました。精神状態も至って健康です)

(良かったわ! じゃあ次はレイラちゃんを助けなきゃ!)

(心配かけさせやがって……こっちも終わらせたら向かう!)

(姉御! どうかご無事で!)

(では三代目、お気をつけて)

通信は切れて2人は安心した表情で顔を見合わせて頷く。

「凛人! 私達行かなきゃ!」

「わかった。俺もこいつをしょっ引かなきゃならんからな」

「くっくっく……果たして出来るかな?」

凛人とキリエは、互いに距離を取って睨み合う。

「鷹東 キリエ。殺人の容疑及び、公務執行妨害、傷害罪の罪で、キサマを逮捕するッ!!」

能力、超思考加速を発動し一瞬でキリエの目の前に移動し、弓矢のように拳を構えて穿つ!!

それは狼の牙!

一撃で仕留める必殺のアギト!!

だが———

「っっ!?」

凛人の拳はキリエには届かず、何か見えない力によって吹き飛ばされてしまった。

「凛人!」

「大丈夫だ! いったい何が———」

「苦戦してるのね、初めてじゃないかしら?」

闇の中から薄っすらと月の光に照らされた少女が歩いてくる。

クリーム色の髪に片目が隠れていて、後ろ髪は長く、肌の白い細身の女の子だ。

年齢は幼く見える。

「人…形……!」

バジリスクの表情が青ざめていく。

「これは姫……いいのか? 人前に顔を出して」

「問題ないわ。…………そうでもなかったみたい」

少女はある人物を凝視する。

その人物は少女にとって都合の悪い人物なのだ。

「ア……リス……?」

凛人が驚愕の表情を隠せずにいる。

懐かしいから。

死んだと思っていたから。

面影を見つけたから。

孤児院、天使の園で一緒に育った彼女。

「はぁ……やっぱり凛人お兄ちゃんか」

「式宮 アリス…………なのか」