複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照1500突破感謝!オリキャラ募集! ( No.184 )
日時: 2015/09/30 22:53
名前: ユッケ (ID: /cDu3FaZ)

■意識の奥、闇の中■



怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い。

僕は皆と花火を見ていて、そしたら誰かの声がして、目を見たらなんだか怖くて……。

怖くて意識を保っていられなくて、世界とのアクセスを絶った。

真っ暗な世界に堕ちて行く……。

「レイラに気を付けろ」

なぜキリエの言葉が聞こえるんだ?

声が響いて止まない。

言いようの無い不安と恐怖が心を侵食してくる。

「嫌だ! やめて! 怖い! 怖い! 怖い!」

真っ暗で、意識の中の世界の筈なのに、暗闇から伸びてきた牙が僕の肩を、横腹を、腕を、足を噛む。喰い千切る。

「うわぁああああああ!! 離して! 離して!」

ガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジ

体が無くなっていく!

ガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジ

ガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジ

ガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジ

「たす……け……て……」

「大丈夫だよ。お兄ちゃん」

僕の頬に白い手が触れる。

ああ、僕は何度かこの手を見た事がある。

夢の中だったから忘れていたけど、僕はこの手を知っている。

「お兄ちゃんに埋め込まれた感情の種は私が消したから、もう怖くないよ」

いつの間にか体も元に戻っていて、恐怖も無くなっていた。

「帰らないと……」

「もう行っちゃうの?」

「うん、待ってる人達がいるんだ」

「……そう……お兄ちゃんは必ず巻き込まれる。これから起こる抗争に巻き込まれて、その中心になる。お兄ちゃんは逃げられないよ。
フフ、この世界の事も、どうせ忘れちゃうんだけどね」









ゆっくりと目を開く……まだぼやける視界の中で、誰かが必死に僕の名前を呼んでいる……。

「祐! 祐!!」

「祐! 大丈夫か?」

「先輩!」

焦点が合ってくる……寝起きみたいな感覚。

僕を心配そうに覗き込んでいるのは、音羽と赤菜とみよりだった。

上体を起こす……その時気付いたのは、音羽の膝に頭を置いていたという事だ。

「おや、もう起きて大丈夫ですか? まったく人騒がせな僕っ子だぜ」

クミが心配半分、冗談半分で歩み寄ってくる。

「僕……どうして……」

「覚えてねーのか? 百目鬼とかいうガキんちょに、恐怖の感情の種を埋め込まれたんだ」

「そうだ! あの瞬間、怖くて仕方が無かった……」

「祐、実はレイラちゃんが……」

音羽が僕が眠ってからの経緯を説明してくれる。

レイラが連れて行かれて、千香と東雲先輩がキリエを捜しに行った。

「三好君、目が覚めたようだね〜。三代目に連絡しなくちゃ」

「木戸先輩! すみません、心配かけちゃいました」

「心配するのは先輩の役目だよ。三代目に報告してくるよ。小春ちゃん、バジリスクにも連絡するからおいで」

「はいッス!」