複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照1500突破感謝!オリキャラ募集! ( No.185 )
- 日時: 2015/10/07 00:18
- 名前: ユッケ (ID: Pi8kpTE6)
「とにかく、レイラも先輩も千香も危険だ。なんとかしなきゃ!」
焦る僕に赤菜が腕を掴んで止める。
「さっきまでぶっ倒れてたんだぜ! 焦りすぎだって!」
「そうですよ! またやられちゃったらどうするんですか!」
鈴也君が赤菜の隣で叱咤する。
「でも、3人とも危険なんだ! なんとかしなきゃ本当に———」
「危険なのは祐も一緒だよ……」
音羽の声が呟くように、でも聞こえるように聞こえた。
声色は怒っているのが伝わってきて、こんな音羽の声は聞いた事が無かった。
散々心配をかけた。
なのにまた僕は心配をかけようとしている。
でもどうにかしなくちゃ3人が危ないのは変わりない。
「僕が……行かなきゃ……」
やっと搾り出した自信のない声。
「超能力者だからって、何でも出来るつもり? あんなに簡単に意識を失ったのに?」
ぐうの音も出ない。
全くの正論だ。
何でも出来る気になっていたのかもしれない。
「ぁ……あの……」
険悪なムードの中、みよりがおずおずと手を上げる。
「ごめんねみより。心配かけちゃってる」
「心配です。心配ですけど……私達も一緒に行けばいいんじゃないでしょうか!」
「やめた方がいいでしょう。銀髪ロシアンがあの2人をすぐに潰さなかったのは、おそらくどちらかが超能力者か、どちらも超能力者だと知っていたからでしょう。
キリエという人物もぺったんこヤンキーが警戒するような人物です。
どちらにせよ、私達が行っても足手まといになるだけです」
クミがみよりの提案を一蹴する。
「じゃあ祐を1人で行かせるの? 私は反対!」
音羽がすかさず反論。クミに噛み付くように声を荒げて言う。
「いいえ、私達も一緒に行けますよ。三好さん、手を出してください」
「え? こ……こう?」
手を差し出す。
僕の差し出した手をクミが握ると、何かひんやりとした物が掌に触った。
「私達が付いてッからよォ〜! バシッと決めてこい!」
「ミク!?」
「ああ〜! そういう事でありますか! 先輩せんぱい! ちょっとビリッとしますよ!」
みよりが僕に手を重ねる。
静電気のように少しだけビリッとした。
「先輩は僕達がいないと駄目ですからね」
鈴也君がコントローラーで何かを動かす。
僕の服、袖が少しだけ引っ張られた。
「祐! ハイタッチだ!」
赤菜とハイタッチする。
パチンといい音がして、手には少しだけ温かい温度が残っていた。
「これならいいんじゃないですか? 千年先輩」
鈴也君が音羽の躊躇いを払拭するように言う。
だが音羽は納得していない表情を浮かべて僕を見つめる。
「音羽、心配ばかりかけてごめんね。でも力を貸してほしい。絶対に帰ってくるから」
「……こんな時ばっかり頼るなんてズルいよ……」
「うん」
「祐はいつも1人で背負って、怪我して、傷付いて……私を頼ってくれなくて……それなのに、こんな時ばっかり……ズルいよ」
「うん」
「絶対に帰ってきて」
「絶対に帰ってくるよ」
音羽が涙を零しながら、僕の手を握る。
浴衣にとてもよく似合っていた髪飾りを少しだけ、造形の能力で形を変えて、僕に渡す。
(三代目の方は凛人が来たから大丈夫だってさ、レイラちゃんの方に行ってあげて)
木戸先輩が通信で伝えて能力を貸してくれる。
(ありがとうございます)
僕は皆を連れて行く。
皆の能力を借りて、僕がレイラを助けに行く!
僕は1人じゃない!
ビルの階段を降りながらレイラに通信を飛ばす。
そして、今に至る……。