複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照2000突破感謝! ( No.210 )
- 日時: 2015/10/28 16:55
- 名前: ユッケ (ID: Pi8kpTE6)
「は、はぁ……僕は三好 祐です」
「では三好君。早速何にお困りかな? 金銭面なら、そこの電柱に貼ってある広告の会社に電話するといい。こわ〜いお兄さんがトゴで貸してくれるよ」
「そんな相談してません!!」
電柱にはいかにも怪しい文字で、身分証明書不要とかお気軽になんて書かれた広告が貼り付けてあった。
「あはははは! 面白い子だね〜」
ケラケラと笑うタマモさんに少しだけイラっとした。
「占う気ゼロでしょ! 本当に占い師なんですか?」
「疑ってるのかい? まあそれが普通の反応さね。私はれっきとした占い師だよ。海苔を作ってる会社があってね、体育館に敷き詰められた何百種類の海苔の中から今年1番売れる海苔を選ばされた事もあったね〜」
「占い師って壮絶なお仕事なんですね」
ほとんど棒読みの無表情で疑いの目を再度向ける。
「いやいや、占い師と企業や政治家はアイドルとプロデューサーみたいなもんなのさ。大昔に武将や朝廷に仕える陰陽師っていただろ? それの現代版なのさ。
今でも政界や社長さんとの繋がりは深いんだよ」
「つまり、私は凄い占い師なんだぞ……と?」
「さあ当たるも八卦、当たらぬも八卦さ。相談するだけしてみるといい。私は占い師でもあり、ヒント係でもあり、村人Aでもある。勇者が迷えば適当にアドバイスするのが役目なのさ。
悩みは何かな? 孤独な坊や。友情かい? それとも愛かい?」
う〜んと唸ってから。
「どちらかと言えば前者の方で」
「ほほぅ、やっと友達が出来て楽しく毎日を送っていたのに、ある日突然第三者の介入によって解散せざるを得ない状況になって、そのまま喧嘩別れみたいになってしまって、自分の選択は間違っていたのかな? みたいな相談をされるのかな私は?」
「!?!?」
ずばりと当てられてしまった。まだ何も言ってないのに!
「あれ? 図星だったかい? 1番可能性の無さそうな事を言ったつもりだったんだけどね〜。まあいいや。概ね合ってるって事でいいのかい?」
「は、はい」
驚きすぎてまだ言葉が出ない僕は、イエス・ノーの返事をするのが精一杯だった。
「なら簡単さ、原因は“呪い”だよ」
「はい?」
「その第三者にキミが……いやキミ達が呪われた。それだけさ」
「意味が分からないんですけど?」
「世界の構図だよ。誰かが幸せになれば、誰かが不幸になる。この世界はイスの取り合い、ババの押し付け合いなのさ。
その第三者が自分の幸せの為に、キミ達を不幸にしたって事さ。
これが呪いでなくなんだい? そう、これは呪いなのさ。キミにはあるかい? 人に呪いをかけて人に呪われた事は?」
そんな事……と言いかけて気付く。
あった……僕にも、人を呪って人に呪われた事があった。
僕が孤独になった理由。僕が超能力を乱用し、周りから距離を置かれ、怨嗟をぶつけられた事。
これこそが、今まさにタマモさんが言っている“呪い”
もしかしたら、全て見透かされているのか? と思うほど、彼女の言葉はピッタリと気味が悪いくらいに当てはまった。