複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照3000突破感謝! ( No.213 )
日時: 2015/11/05 01:49
名前: ユッケ (ID: Pi8kpTE6)

【御影 鈴也の場合】

三好先輩に何度かメールを送信しましたが、既読はつくものの返信は全く返ってきませんでした。

「僕も、また独りじゃないですか……」

解散したあの日以来、とても退屈な時間を過ごしています。

楽しかった日々が僕にとってとても大切な物でしたから、先輩達と出会い、打ち解けるまで、どうやって独りの時間を過ごしていたか、暇の潰し方も忘れてしまいました。

独りの時ってどうしていたんだっけ?

考えると堪らなく不安になります。

「明日から……二学期……」

このまま離ればなれになるのでしょうか?

二学期の間ずっと……もしかしたらこの先ずっと……。




【一乗寺 クミの場合】

この場合、一乗寺クミとレイラの場合でしょう。

ついでにミクも。(ついでってどーゆー事だよ!オイ!)

「どうですか? そちらは」

「駄目ね、王国の手掛かりは今日もゼロ。鷹東キリエについてもさっぱりだわ」

ファミレスでパフェをつつきながら私とロシアンで報告会です。

パフェはロシアンの奢りです。落ちぶれといっても貴族の子なので、流石カネは持っています。要するにクミさんは報告会兼たかりです。

もちろんメインは報告です。

私達は王国と鷹東キリエについての情報を収集しています。

情報があれば、防衛にも攻撃にも使う事が出来ますから、また私達が集まった時、もしくは誰かが襲われた時に、役に立つよう準備しているわけです。

「あれから襲われたりは?」

「いいえ、不気味なくらい静かよ。でも九十九 神矢が諦めるとは考え辛いし、引き続き警戒はしておくわ」

「明日から二学期ですが、大丈夫なのですか? 学校で顔を合わせるのでは?」

「流石に学校の中では暴れないとは思うわ。そうなったら大事件。王国って組織も活動し辛くなるでしょうし」

「それもそうですね。あ、パフェおかわりです」

「アンタね……」

「私が心配しているのは、ロシアンの財布の中身でも、私自身の安全でもありません。超能力者であるアナタと三好さんとウサギです」

「そうね。特に宮本は心配だわ。王国の連中は超能力者が欲しいって言ってたし、能力者優位の世界を作るってんなら、なおさら超能力者が欲しいはずだしね」

「あ、あとホットケーキも追加です。パフェ食べたら寒くなりました」

「ア・ン・タ・ねぇ〜〜〜!」




【七咲 千香の場合】

今日の仕事はチンピラから盗品を奪い返すだけのボロイ仕事。

なんでも、水晶玉が盗まれたブツらしい。

まぁ、ブツはもう取り返したんだがな。

「いやはや助かったよ。お礼に占ってあげようか?」

「はん……。運命なんぞに興味は無い。現金だけ渡してさっさと行け」

「つれないねぇ。はいよ、報酬の現金だ。大切な物だったからね、少しイロをつけておいたよ。水晶玉があると占い師っぽく見えるだろ?
どうだい? お譲ちゃん。占い師っぽく見えるだろ?」

「う、胡散臭いッス……」

「おや、坊やも同じ事を言っていたよ。いったい何が悪いんだろうねぇ?」

「いいから早く失せろ!」

「ふふ、はいよ。また頼む事もあるかもしれないし、その時はご贔屓に」

ヒラヒラと手を振って裏路地から去って行く自称占い師。

なんかムカツク女だった。

「姉御、いくら貰えたッスか?」

「5万と……なんだコレは……割引券?」

封筒から出て来たのは5枚の諭吉と、スーパーの割引券……こんなもの入れやがって、ナメているのか……。

「何か書いてあるッス」

割引券に何か書いてあるのを小春が発見した。

「“彼の家の冷蔵庫の中が充実している今がチャンス”だと……!」

「ぅぉぉ……エスパーッスか!」

「気色の悪い!! ……だが、腹は……減ったな」

なぜあの自称占い師が私達と三好の事を知っているんだ! 本当に気色の悪い! あの女狐め!!

まさか視えるとでもいうのか? フン、有り得ん話だ!

しかし、腹が減っているのは事実。

それに、どこの飯屋に行こうとも、私が心から満足する料理を出すのは……悔しいが、三好だけだ。