複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照3000突破感謝! ( No.214 )
日時: 2015/11/15 21:06
名前: ユッケ (ID: Y0bUbKlP)

■二学期■



軽めの朝食をとって、まだ眠気の残る体を無理やり動かし、家を出る。

今日から二学期が始まるが、正直言って気が重い。音羽や赤菜とはあの夜以来会っていないし、あの時は喧嘩別れみたくなっちゃったから……。

(どうしても、その方法じゃなきゃ駄目なのかよ!)

(祐は1人だよ)

頭の中に蘇る音羽と赤菜の言葉。

学校でどんな顔して会えばいいんだろう……。

そう思いながら重い足取りで学校へと向かった。






教室には音羽も赤菜ももう来ていた。

けれど、僕達は目を合わさず自分の席に座った。

普段から僕達は教室でも結構話をしている。「どっちが彼女?」と冷やかされる事もあるが、いつも「そんなのじゃないよ」と返す。

何が言いたいかというと、それだけ僕達が教室内で仲良しトリオだと認知されているという事だ。

だからだろう、違和感を感じたクラスメートが僕に話しかけてきた。

名前は壮一郎(ソウイチロウ)。どちらかと言えば仲が良いって感じの間柄。

なにせ僕はずっと、能力者であることを隠す為に、必要以上に寄らず寄せ付けずの関係を保ってきた。そんな僕がクラスで仲が良いのは音羽と赤菜くらいだ。

「どうしたのお前、何か元気ないじゃん」

「そんな事ないよ。それに、二学期ってなんかワクワクするよね。文化祭とか体育祭とか…………」

…………あれ?

「おう、そうだな。委員長がやけに張り切ってたし、今年は覚悟しといた方がいいぞ? 今日からでも準備の話をし始めそうだったし」

(そうだった———!!!)

二学期と言えば行事! 祭り! それに2年生って修学旅行もあるんじゃないか? このままもし、気まずい状態で行事を迎えたら…………じ、地獄だ……。

「でも、当面の問題を解決しなくちゃそれどころじゃないし……ブツブツ」

「なにブツブツ言ってんだ? まぁ、仲直りなら早めにしとけよー」

「え?! いや! その、そういうのじゃ……」

「いやいや、見りゃわかるから。頑張れよ〜こういうのは男の責任だぞ〜」

手をヒラヒラさせながら壮一郎は去って行ってしまった。

それもそのはず、全校集会の時間が近付いている。皆体育館へと集合しているようだ。

とにかく移動しようと思い、席を立った時だった。

「なぁ祐。放課後ちょっと話があるから、体育館裏に来てくれよ」

同じく席を立った赤菜が、僕の肩を捕まえて神妙な顔で言ってきた。真剣な話である事はすぐにわかった。それに、十中八九あの話だ。

「うん。わかったよ」

「じゃあ後で」

それだけ言って赤菜はさっさと教室を出て行ってしまった。

寂しさに胸がチクリと痛んだ気がした……。