複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照3000突破感謝! ( No.215 )
日時: 2015/11/17 17:36
名前: ユッケ (ID: Bqxxwr/X)

教室を出て体育館へ向かう。

暫くすると全校集会が始まり、長ったらしい話が続いたが頭には全く入ってこなかった。

放課後、赤菜が話しがあると言っていた。その事しか考えられなくて気が付いたら全校集会は終わっていて、皆教室へと帰ろうとしていた。

教室でのHRを終え、放課後。

文化祭の話とか出てた気もするけど、それどころじゃないので当然頭には入っていない。

ふと教室を見渡すと、赤菜の姿が無かった。

とすると、もう体育館裏に行っているのか……僕も急いで行かなくちゃ。

荷物をまとめて体育館裏へと急ぐ。

思ったとおり、赤菜はもう来て待っていた。

「ちょっと会って話するくらいなら別にいいだろ?」

体育館裏に現れた僕を見つけるなり、赤菜はそう言い放った。

凄く棘を感じる言い方だ。

「うん、そこまで制限はしないけど」

「じゃあさ、単刀直入に言うわ。もうやめようぜ、そういうの」

「でも、今皆で集まってしまったら、またあんな危険な事が起こるかもしれない。王国は得体が知れない。だから———」

「誰が自分の身心配してるかってんだ」

「え?」

「テメェを心配してんだよ! わかんねぇのか!! なりたくもねぇ独りになって、独りで問題解決しようとして、もうやめろよそういうの!!」

圧倒されて言葉が出ない……こんなに怒った赤菜は初めて見たし、女の子に胸倉を掴まれたのも初めてだ。

「私達じゃ頼りにならねぇってのかよ! 役に立たねぇってのかよ! なめんなよ超能力者! 超能力が使えるからなんだってんだ! 神様にでもなったつもりかよ!!」

「違う! 僕は皆が危険な目に遭うのが嫌なんだ!」

「それがなめてるってんだよ!! お前なんかに守ってもらわなくても自分の身は自分で守る! やってやるよ! 私が王国とかいう組織をぶっ潰す!!」

「駄目だ赤菜!! そんな危険な———」

なんだ……何を言おうとしているんだ僕は……。

そんな危険な……そんな危険な事するな……って?

それって、僕が言われた事じゃないのか?





(でも、3人とも危険なんだ! なんとかしなきゃ本当に———)

(危険なのは祐も一緒だよ……)




(超能力者だからって、何でも出来るつもり? あんなに簡単に意識を失ったのに?)




(じゃあ祐を1人で行かせるの? 私は反対!)







あの時は僕が皆の能力を借りて行ったけど、結局は何の解決にもなっていない。

皆は僕を心配してくれてた。

なのに僕は、僕がどうにかしなくちゃって独りで……僕は誰も、心から信頼なんてしてなかったんじゃないのか……。






(……これは、消える前にお前に言っておきたい事だが、超能力者って言っても何でもかんでも救えるわけじゃねぇ…神でも聖人君主でもねぇしな。所詮はヒトだってこった!)

これは別人格さんが僕に残した言葉……。

別人格と言ってもあれは僕自身の言葉だ。

分かったつもりでいて、全く分かっていなかった。

僕はずっと間違え続けていた…………。








「私が終わらせる! アンタに守ってもらわなくてもいいって証明してやる!」

赤菜はそう言って去って行った。

止める事は出来なかった。

今の僕が何を言っても、説得力が無い。

無くした信頼は、そう簡単には戻って来ないのだ……。