複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照3000突破感謝! ( No.219 )
- 日時: 2015/12/06 22:34
- 名前: ユッケ (ID: LMLu5hTj)
「先輩せんぱい! 待ち合わせの場所はどこに致しましょう?」
「ああ、そうだね。あのパワースポット公園でどうかな? 赤菜がよくダンスの自主練してるから家も近いかも。11時くらいにそこで待ち合わせにしよう」
「了解致しました! ピ・ポ・パであります!」
みよりが電話してくれている間にデザートを食卓に並べていく。
「はい、ドラゴンフルーツとフィンガーライムのヨーグルトピタヤボウルだよ」
「な、なんじゃこりゃーー!!」
「うまい! うまいぞ三好!」
「食べた事ないフルーツばっかりッス!」
「珍しい食材を売ってるスーパーがあってね」
「もぐもぐ……それってここの事か?」
千香が何かの紙を取り出して食卓に置き、こちらに少し滑らせる。
「これ……商品券!?」
しかも商品券の裏には“彼の家の冷蔵庫の中が充実している今がチャンス”と書かれている。タマモさん……恐ろしい人!
「私は要らん。お前にやる」
「あ、ありがと。じゃあこれでまたご飯作るね」
「先輩せんぱーい! 赤菜先輩からの了承を得ました! って、あーーー! デザートもう食べてるーーー!」
「ご苦労でござったみより殿。はい、スプーンだよ」
「いっただきますであります!」
「ここでダンス見てもらって、それから不良に絡まれて、それから祐と仲良くなったっけ……」
午前10時40分。緋色 赤菜は待ち合わせの公園に到着した。
いつもやってるクレープ屋は流石に午前中にはやっていないらしく、ワゴンの姿は無い。
土曜の午前だが公園にいるのは彼女1人だけだ。
(みよりが電話してきてビックリしたけど、祐が話がしたいって言ってるんだよな……電話越しに小春とか千香とかクミの声聞こえたし……祐のやつ、いったい何してやがんだ?
まさか、4人も女の子を家に泊めてたとかじゃねぇよな? 羨まし……いやいや、何考えてんだよ私は! ……昨日あんな事やっちまったんだぞ……嫌われたに決まってるじゃんか……)
そんな事を考えた彼女は少し頭を振って、ネガティブな思考を振り払おうとする。
「よし! 考え積めるのは性に合わないし、体でも動かすか!」
そう言って練習中のダンスを踊りはじめる。
音楽は無く覚えている音楽を脳内再生しながらタイミングを取る。
「…………目標発見……ハァ……めんどくさい……」
公園の外、気だるそうな男が彼女を生気の無い目で見ている。
黒を基調とした服には白いラインが入っており、体に合わないブカブカサイズで口が襟で隠れている。
「分かってる……さっさと拉致して寝よ……」
そう呟いてからダルそうな足取りで男が彼女に近付いていく。
その男から伸びる影は、ユラユラと揺れるように動いていた。