複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照3000突破感謝! ( No.221 )
- 日時: 2015/12/20 17:21
- 名前: ユッケ (ID: /fe4MZQT)
「これはまた、俺にぴったりな能力だ」
骸骨の中で男が言う。
「三好ぃ、私コイツ苦手だ……潰していいよな?」
「いや、駄目だから」
すると、骸骨の手が開いて男が解放される。
「おや、素直。ミクも成長したんだね〜(しみじみ)」
「わ、私じゃねェよ! ってかお前、私の事バカにしたろ今!」
「な、何だって!? ミクじゃないとしたら、あの人の仕業だきっと!」
「無視してんじャねェよッッ!!」
「俺は土御門 錦(ツチミカド ニシキ)。安部清明の分家である土御門家は、代々霊的能力が強くてな。と言っても、能力開発のおかげで、その能力が顕著に現れたのは俺だけだが」
土御門を名乗る男は、高校生ほどの身長で、白髪混じりの髪に、左手首にはオニキスで出来た数珠を着けている。
三好 祐は内心、そういう髪で怒られたりしないのだろうかと考えたが、タマモの事を思い出し、考えるのをやめた。
「三好ぃ、霊的能力ってなんだ?」
「呪いとか、金縛りとか、ポルターガイストとかの事じゃない?」
「フ、ならばその身で味わってみるがいい」
土御門 錦の表情が変わる。彼の腕から青白い手のようなモノが蠢き、地を這い砂を巻き上げていく。
砂煙による竜巻は、自然発生したものではなく意思を持ったように、的確に三好 祐とミクに向かって来る。
「クッソッ! 前が見えねェ!」
「目が開けられない!」
「取らせてもらうっ!!」
砂煙が晴れた瞬間、土御門が青白い手を三好に向かって放つ。
目を開けられなかった2人は視界が悪く、避けるのは困難だ。
「三好ッ!!」
骸骨の手が三好を掴み運ぶ。青白い手は骸骨をすり抜けて行き消えた。
「助かったよミク」
「三好が狙いだッて事は容易に想像付くからな、警戒しといて正解だぜ。それにしてもあの青白い手、能力をすり抜けたぞ」
「躱すとは恐れ入った。ついでに教えておこう俺の能力は霊的能力が基盤にある。故に普通の能力とは別次元のものだ。俺は幽触(ゴーストタッチ)と呼んでいる」
「……チート過ぎるっ!」
「いや、おめェが言うなよ」
「ごめん、つい……」
「茶番は終わったか? せっかく待ってやったのだ、今度はそちらから来るといい」
「だってよ三好ィ! もう暴れていいんだろォ?」
「暴れるのは駄目だけど、僕達も追わないとだし、早めに倒そう!」
「オーライ、オーライ、んじゃ、行くぜ!」
ミクの能力は特殊骨格。通常よりも軽く強靭な骨を作り出す能力だ。
骸骨の腕を作り出し、両腕で挟みこむように土御門に迫る。
一方の腕に土御門が幽触を放つ。すると、骸骨の腕が半分に折れ、もう一方の腕を掴み折って三好とミクに投げつける。
「こういうの、いい気はしないけど!」
投げつけられた骨を、三好 祐がキャッチする。正確には、三好 祐が能力で作った骸骨の手がキャッチした。
「ヤロウ……めんどくせェ能力だぜ」
「ポルターガイストかな、砂が舞ったり骸骨が勝手に折れたり動いたり」
「お前達はバチ当たりだな。骸骨でキャッチボールとか、育ちが悪いぞ」
「「誰のせいだよッ!!」」
「ああァァもう怒ッた!! こいつ絶対ェ潰す!!」
「ミ、ミクさん、抑えて抑えて……うわぁっ!」
三好がなだめるも、ミクの怒りはもう止まらないようで、ドッカンドッカンと骸骨の腕を振り回し始めた。