複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照3000突破感謝! ( No.225 )
日時: 2016/01/17 01:49
名前: ユッケ (ID: .cKA7lxF)

「明かりを灯せ!! 壁も天井も真っ白に照らせ!!」

「う、うっす!」

千香の指示で部屋が電気で照らされる。

影を失った事で壁から浮き出たように現れた男は、上の階へと逃れるべく走って階段を駆け上がった。

「奴をこのフロアより下には絶対に行かせるな。確実に逃げられる」

「で、でも……もうそろそろ感情増幅の効果が切れてきたであります」

「この能力はドーピングのようなものだ。連続でかければお前の体が壊れる。今の感覚を忘れないようにしろ。お前は元から超能力者だ。今使っているように電気を操れるはずだ」

「善処します……」

「問題は影野郎だ。鹿狩りがすっかり虎狩りに変わりやがった。上の階でこのビルは行き止まりだが、どうせ影の中に隠れてやがるだろうからな」

「直接叩ければ1番ですけど、難しいですかね?」

「さっきのように炙り出せれば捕まえられなくもないが、逃がした時のリスクが大きい。さっきも言ったが、私達がいるフロアより下に行かれてしまうと確実に逃げられる」

「それに、もし影の人を捕まえたとしても、小春ちゃんや赤菜先輩を助け出さないと意味がないですしね」

「ああ、その通りだ。よし、耳を貸せ、私に考えがある。成功確率は5分5分といったところだが」













「ぎゃあああああ!! って、おおう? 息が出来るッス」

真っ暗闇の中で、小春が喉に手を添えながら呟く。

「小春? お前も捕まっちまったのか?」

「おお! 赤菜さん! 不覚にも影の中に引っ張り込まれてしまったッス」

「皆は? 皆は無事なのか?」

小春が赤菜にここまでのいきさつを説明する。

「そうか、外ではみよりと千香が戦ってるんだな」

「きっと姉御がすぐに助けてくれるッス! 心配は無用ッス!」

「小春はスゲーな、本気で千香を信用してるんだな」

「私は姉御に命預けてるッスから! 赤菜さんもそうじゃないッスか? 三好さんの事」

「ええ!? ど、どうだろ? 命とかそういうんじゃねーけど、そうだな……私は祐の事が好きだから……だから祐には無茶してほしくなかったし、もっと私の事を頼ってほしかったし、でも何にも出来なかった自分に腹が立って……」

「だから1人で王国と戦おうとしたッスか? それって、三好さんがしようとした事と一緒ッス」

「あ! そ、そうか……そうだな、その通りだ。全く、何やってんだろうな私」

「私は姉御を信じてるッス! だから赤菜さんは三好さんを信じてあげるッス!」

「ああ! 祐、信じてるぜ! 負けんじゃねぇぞ!」