複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照3000突破感謝! ( No.227 )
日時: 2016/01/23 17:56
名前: ユッケ (ID: tar6yAGP)

千香達が須崎 灯護を撃破する少し前






特殊骨格をブンブンと振り回していたミクにも、疲れの色が見えていた。

それ程に土御門 錦の能力はミクと三好を苦しめていた。

「お互いに決定打は無いが、俺としては充分に時間稼ぎが出来たとみるがね」

土御門の目的は最初から時間稼ぎだ。三好 祐を捕らえられれば、それ以上は無いが、任務としてはもう完遂と言ってもいいレベルまで来ている。

「クッソ! コイツッ! 嫌な能力だぜ!」

「根本が霊的能力だから戦い辛いんだ。突破口も見つからない。特殊骨格は軽いけど、そのスピードじゃあ相手の幽触には及ばない」

「チィ! なんかお前持ってねーのかよ! 奴の幽触とか、赤毛の炎とか、能力ストックしてねーのか?」

「そうか……幽触は触ってないから使えないけど、炎ならもしかしたら……」

赤菜が影に飲み込まれる瞬間。ギリギリで間に合わなかった。

だが、もし赤菜が炎を託していたとしたら……可能性はある。

「……ある……力を感じる……! 赤菜の炎だ!!」

三好が掌を前に突き出す! 土御門に向かって炎が放射される!

(これが……! 三好 祐の超能力っ!)

土御門は炎の放射を横っ飛びで転がり、なんとかかわす。同時に、これ以上戦えば負けるとも予感した。

「聞いた通りとんでもない能力だな。リーダーが欲しがるのも頷ける」

「キミ達のリーダー? 能力者優位の社会を作るだっけ?」

「そうだ。リーダーが目指すのは能力者優位の社会。能力者の理想郷だ」

「キミはなぜ王国にいるの? 能力者優位の社会って……なんだか……理由は解らないけど、違う気がするっていうか……違和感を覚えるっていうか……とにかく、僕には解らないよ」

「俺は、これからの社会がそうなると思ったから王国に入っただけだ。中にはエグい理由を持ってる奴もいるからな、これは本当だ。
実際、さっきの影の男。須崎 灯護は中学まで陸上部で活躍していた選手だった。
だが、結果を残せば周りからは、能力でインチキをしたのだと勝手を言われ、それは肥大に肥大を重ね、とうとうコーチからも強制退部を言い渡されたそうだ。
無能力者達の陰湿な嫌がらせによって、彼は大好きな陸上競技を奪われてしまった」

「それは……気の毒としか言いようがないよ。冷たい言い方だけど、僕達には関係ない! 僕達に、仲間に手を出さないでよ!」

「それは無理だ。キミには大きな力が宿っていて、その上、バジリスクやキリエと繋がっている。王国に必要な人材。そして、王国としては見過ごせない存在なんだよ」

その声は土御門とは違う声。三好達の前に現れた人物は、一見落ち着いた雰囲気を見せるが、なにやら寒気のようなものを感じるオーラを纏っている。

この人物の登場で、公園内の空気は一変して変わってしまった。

「三好……コイツ……」

「う、うん……」

「はじめまして、三好 祐君。僕が王国のリーダー。現人神 剣(アラヒトガミ ツルギ)だよ」