複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照3000突破感謝! ( No.229 )
日時: 2016/01/29 03:51
名前: ユッケ (ID: .JbKK/Zg)

■虚空の少女■



戻って来た千香達と合流した。

もちろん赤菜も一緒だ。

僕は伝える為に今日、赤菜と会う約束をした。

だから、口を開くのは僕からだ。

「赤菜。この前はごめん。僕は皆を巻き込みたくなかった。でも、それは本当の意味で皆を信頼してなかったって事だと思う。僕がやればいいってそう思ってた。その考えで昔、周りを傷つけた事だってあったのに……僕は同じ失敗を繰り返していた」

「祐は私の事信頼してないんだって、あの時思ったよ。何でも1人でやろうとして無茶する祐に腹が立って、何にも出来ない私自身に腹が立った。
私は1人で王国と戦おうなんて思っちまった。私1人が傷付くならそれでいい。祐に無茶させたくないから、私がやろうって思った。
でもそれって、祐がやってる事と一緒なんだよな。小春に言われて気付いたぜ」

「赤菜。勝手なお願いかもしれない。でも、僕と一緒に戦ってほしい」

「ああ! 一緒に王国もキリエもブッ飛ばしてやろうぜ!」

赤菜が突き出した拳に、僕の拳を合わせる。

温かく熱い何かが、拳に宿った気がした。

そこに皆の拳が合わさる。

「当然、私達も混ぜてもらうわよ」

「馴れ合いは好きじゃない。だが、本当の信頼関係ってやつは否定しない」

「私は姉御だけでなく、皆様に命預けるッス!」

「うっはー! チーム再結成ですよぅ! 宮本もやりますよー!」

「僕だって出来る事はたくさんあります!」

「1人で無茶をしてしまう。今回のお2人の行動には、根底に“誰かを思う気持ち”がありました。それはきっと、ここにいる皆にあるものです。
結局、私達はお互いにお互いが大事なのです。私も、ミクも、そう思っています」

皆で顔を見合わせる。なんだか照れくさいけど、何だってやれる気がする!

王国に、キリエ、敵は強大で謎が多い。でも、僕達は勝つ!

勝って日々を取り戻すんだ!

その為にも……。

「まず、音羽を迎えに行こう!」

「部屋にもいなかったし、電話にも出ないのよ。どこか、あの子の行きそうな場所って知らないの?」

音羽の行きそうな場所か……候補としては、溜り場か……お兄さんの所か……あとは…………。

「クレープ屋ですな」

「いや、一瞬考えたけど……」

「音羽先輩は甘い物将軍ですゆえ。こうなったら手分けして捜すでありますか?」

「う〜ん、いや、1つだけ音羽に連絡取る方法があるよ。気は引けるけど」

「方法があるなら使え。千年の事は早めに見つけた方がいいだろう。私はあっさりと退いて行った王国のリーダーの事が引っ掛かる。
奴は人質を取ろうとした。緋色と御影を同時に襲ってな。
なら、3人同時強襲も考えられる」

「か、可能性はありますね。王国のリーダーは、やけに自信があるというか、落ち着いているようでした。余裕があるようにも見えました。考えてみれば、とても作戦が失敗した風には見えません」

「なりふり構ってられないよね。ごめんなさい先輩。便利に使ってしまって!」

そう言って僕は電話をかける。

頼れる先輩、木戸 録先輩に。

先輩はすぐに電話に出てくれた。

「やあ三好君。最近よく連絡をくれるね。今日はどうしたんだい?」

「もしもし、木戸先輩。実は急用で、先輩の能力を貸していただきたいんです!」

「ワケありって感じだね。いいよ、今モバイルしてる。これで三好君がモバイルを使えるはずだ」

「いつもすみません」

「気にしないでよ。これも先輩の役目だよ」