複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照4000突破感謝! ( No.241 )
日時: 2016/02/18 21:46
名前: ユッケ (ID: 3ib433J1)

「……というわけで、昨日の夜会った静原 ナギサさん。なんだか気になっちゃってさ」

集まってくれた皆に昨日の夜の出来事を全部話した。

皆日曜だというのに快く集合してくれた。

「勿論、全くの考え過ぎって事もあるんだけど、皆はどう思う?」

「う〜ん、一応泉川さんには伝えておいた方がいいかもね。些細な情報でも欲しいだろうから」

「そうだね。電話してみようか」

警察の捜査は少しでも違和感を覚えたなら徹底的に追求していくべきものだ。冤罪や迷宮入りを防ぐ為に、必ず100か0になるまで捜査する。それが警察のあるべき姿。その為に市民は協力する。

音羽の言うとおり、やっぱり泉川さんに一報入れておいた方が良いかもしれない。携帯を手に取り、泉川さんの名前を探し画面をタップしようとしたその時だった。

「少し待て、三好」

千香が神妙な表情で僕の手を掴んだ。

「ど、どうしたの? 千香……」

「静原 ナギサ……私はその名前を知っている」

「ふーん、アンタが知ってるって事は、その静原ってのも裏社会に生きる人間ってことなのね」

「奴には家族も行く学校もある。だが、何かとコッチ側に首を突っ込んでくる奴だ。どうしようもない奴を集めた小さいチームだが、仲間もいるようだ。悪さをするような奴じゃなく、むしろ居場所になっているような人間だ」

「姉御の言うとおりッス! 悪い噂は聞いたことがないッスよ」

「不肖宮本めは、そういう人を存じておりますよぅ!」

「ロリ×ロリなダークコンビですな。日曜の朝とか放送すれば大ヒット間違いなし。シリーズ化されて後継作品では5人とかになるパターン」

「はいはい脱線してんぜー、千香の話聞いちまうとなんだか気になるな」

「悪い人ではないって事ですよね。でも、やっぱり警察には連絡した方が良いような……」

「まぁまぁ! 鈴也はお堅いんだよ〜! とりあえず、会って話してみりゃいいじゃねぇか!」

「連絡先は僕が解るよ。電話してみるね」

「……三好先輩まで……いいんですか? そういうの」

鈴也君はまだ納得していないようだが、僕も一度ちゃんと話をしたいと思ってたので早速連絡してみる…………が。

「……出ないね」

電話を一旦切る。出ないものはしょうがない。

「千香ちゃん、静原さんって人がいそうな場所解る?」

「そうだな……行ってみるか」

そういうわけで、千香と小春ちゃんの案内で、ナギサさんがいそうな場所を日が暮れそうになるまで歩き回ったのだが……。

「見つからねー!!!」

「つ、疲れた〜! 甘い物食べたーい!」

「宮本めも、もう限界であります〜」

「だらしないわね。と言いたいけど、今日はもうこの辺にしないとね」

「王国の事もあります。戦略的撤退もアリかと」

「それに、明日は学校ですよ皆さん! 今日はもう帰りましょう!」

「うん、まったくその通りだよね。まだナギサさんが犯人って決まったわけじゃないし、後でもう一回僕から連絡してみるよ」

「私の方でも調べておく、今日一日捜し回って奴の仲間すら捕まらんのはどうしても引っ掛かる」

「ごめんね千香、小春ちゃん。頼ってばっかりで」

「気にしなくていい」

「姉御は三好さんの料理に胃袋掴まれてるッスから!」

「なっ! こ、小春! 余計な事を言うな!」

「うん、いつでも作ってあげるからね」

笑顔で答えた僕だったのだが…………別な笑顔が僕に向けられているのに気付き、背筋が凍りつく。

「へ〜、祐って千香ちゃんと小春ちゃんを家に呼んで料理作ってあげてるんだ〜、ふ〜ん……男が1人で住んでる部屋に、女の子2人を呼んでお料理ね〜」

「い、いや……音羽さん……?」

「別にいいんだけどよ〜、祐の自由だし〜、でもそういうのってなんだかな〜、下心を感じるよな〜シ・タ・ゴ・コ・ロ・を!」

「あ、赤菜さん……決してそういうわけでは……そう! 捨て犬を拾っちゃうというか、お腹を空かせた子犬は放っておけないっていうか……」

とん、と肩に手が乗っかる。千香のですね。はい、そうですね。

「ほほぅ……私は犬か……随分とナメてくれているようだな……試してみるか? 私の牙が子犬のソレかどうかをな!」

こ、殺されるっ!! だ、誰か助けて!

「宮本は先輩に失望したでありますよ。1回痛い目見た方がイイと思います!」

「みよりー! 見捨てないでー! クミ助けてー!」

「先日は私やロリ兎に囲まれて眠れない夜を過ごしましたね。僕っ子のくせに夜は随分と暴れやがる」

「ぎゃぁあああああああ!! 色々間違ってるからー!!」

クミめ! 完全に楽しんでいる! 助けを求める人間を間違えた! ここは常識人かつ信頼のおける後輩君を味方に……。

「先輩ってそういう人だったんですね……サイテーです」

「鈴也君違うんだ! 誤解だ!」

「行きましょう御影、アンタはああいう男になっちゃダメよ」

「レイラー! 僕は潔白だぁあああ!!」

その後お説教を長々と受け、誤解も解いて今日は解散した。

僕はもう心身ボロボロで、1人家路につくのであった……。