複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照4000突破感謝! ( No.252 )
- 日時: 2016/03/29 20:32
- 名前: ユッケ (ID: a2Kit7un)
■王国との激突■
作戦決行当日。作戦と言っても何も無いのだが、僕達は北能力学区に集まっていた。
「よし、行こう」
ゾロゾロと街を歩いていき、賑やかな場所からは少し外れた場所。人気の無い旧市街に廃墟が見えてきた。
「あれが王国のアジトだ。あの中にどれ程の人数がいるのかは解らないが、注意はしておいたほうがいい」
「静原の言う通りね。三好、今から能力を渡しておくわ」
僕の能力は、受けた能力を超能力として使う事が出来る能力。僕独りでは何も出来ない能力だが、皆が僕に力を与えてくれる。
順番に、皆から能力を受け取る。
「よっしゃ! 熱くなってきた!」
「私も準備万端だよ、祐!」
「遠慮なく暴れてもいいんだよなァ?」
「小春、無理はするなよ」
「はいッス! でも私も出来る事をやるッス!」
「ドーン!ってやって、ババーンってやっちゃいましょう!」
「先輩は気にせず自由に動いてください。僕達がついてますから」
「三好 祐。キミの可能性にかける」
「さぁ、決着つけに行くわよ!」
廃墟の中に入っていく、薄暗い建物の中はただ広い空間が広がっている。
誰もいないのだろうか……そう思ったその時、暗闇の奥から足音と共に彼は現れた。彼の登場により空気が張り詰め、冷たくなる。
「ようこそ、王国のアジトへ。三好 祐」
「現人神 剣……」
僕達の侵入に全く驚く素振りを見せないところを見ると、僕達がここに来る事を知っていたか、あるいは予見していたのだろう。
「今日はどんな目的でここに来たのかな?」
「現人神 剣、僕はキミに聞きたい事がある」
「何かな?」
「キミの目的は何だ? 王国じゃなく、キミの目的はいったい何なんだ」
僕がずっと感じている、現人神 剣に対しての違和感。王国の目的は能力者優位の社会を作る事。でも、その組織のリーダー現人神 剣にはどうしても違和感を感じていた。だからその違和感を思い切ってぶつける。
「この前も三好君は僕にそう言っていたね」
「実際はどうなんだ! キミは王国を何か別の目的で利用しているだけなんじゃないのか!」
「……三好君がなぜ僕達の目的を疑っているのか解らないけど、キミとはもう少し、……2人だけで話がしたいな。準、ここは任せる。三好君は僕と一緒に来てもらう」
現人神 剣の指示で、暗闇の奥から糸目の金髪の男が現れる。この男は影の男とあの夜に会った事がある。
「ほな、三好 祐はリーダーと一緒に奥へ、他はここにいてもらう」
「素直に従うとでも思っているの? 罠の匂いがするんだけど」
「そうだぜ! こっちはカチ込みに来てんだ! 素直に従う道理はねぇ!」
「そらそやわな。ほな、力ずくでって事で」
臨戦態勢。この準という男はやる気だ。
「皆に手を出すな!」
「三好! あんたは先に行ってなさい! すぐに追いつくわ」
「レイラ……」
「祐、私達を信じて!」
「音羽……うん、信じる! 皆気をつけて!」
僕は現人神 剣と共に奥へと歩いていく。
外からは解らなかったが廃墟内は結構広いようだ。
「ここは何かの研究施設だったみたいでね。ほら、こんな感じで地下にも空間があるんだ」
現人神 剣が指差す方向には、床にバックリと空いた地下への階段が見えている。
「地下には何が?」
「ただのガラクタが転がっているだけだよ。でもね、僕は思うんだ。この廃墟は以前、能力開発の研究施設だったんじゃないかとね」
「能力開発……」
地下にはまた広い空間が広がっていた。何個も部屋があるとかそんな事はなく、ただ広い空間が1つあるだけだ。
「充電されている電力が今も生きていてね。電気をつけてあげよう」
壁についているボックスを開き、重そうなレバーを上げると、バチンという大きな音と共に電気が点く。
「さて、見せてみろ。三好君の超能力を!」