複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照4000突破感謝! ( No.253 )
日時: 2016/04/07 22:59
名前: ユッケ (ID: W/.Oe74D)

現人神 剣はやる気だ。本気で僕を潰す気なんだ。

相手は超能力者。それも、能力者集団である王国を束ねるリーダーだ。なかには九十九 神矢のような好戦的な人物もいる。

僕も、覚悟を決めなくては……!!

「行くぞ! 現人神 剣!」

「来い! 三好 祐!!」

先手は僕から、炎を彼に向かって放射する。赤菜から受け取った能力だ。

「なんだコレはッ……!」

イラついたような声と共に剣が片手を振る。それだけで炎が散る様に消されてしまった。

公園で一度見た事がある彼の能力。僕の予想はバリアー。ミクの特殊骨格やレイラの超重力を受けきる程強力なものであると予想している。

超能力をも受けきるバリアー。だけど、僕ならばそのバリアーを打ち破れるかもしれない。レイラが九十九 神矢の空間をキャパシティオーバーさせた様に、様々な超能力をぶつけ続ける事で、バリアーを壊せるかもしれない。

「重力! 特殊骨格! 電撃! 炎! 電撃×コントロール! 特殊骨格×造形! 炎×感情増幅! 電撃×炎×特殊骨格×透明化!!!」

ありとあらゆる能力、そして組み合わせ、休まず、絶える事無くぶつける!

「違う……! 違うッ! 違うッ!! 違うッ!!!」

皆から受け取った能力、全てをぶつけて、僕は……彼のバリアーを破れなかった……。

「ど、どうして……」

届かない……僕達の能力では彼には届かないのか……。

「僕の能力を根本から勘違いしているようだね。いいだろう、もう少し対等な位置で戦おうじゃないか。教えてあげるよ、僕の超能力を」

「……バリアーじゃないのか」

「ハハハハハハ!!! そんなものじゃないさ、バリアーよりももっと完璧な防御。僕の能力は“否定と拒絶”。全てを否定し拒絶する能力!」

「じゃあ、僕の……僕達の能力は全て……」

「存在を否定され、僕に届く事無く拒絶される! まったく因果なものだね。三好君は全てを自分に受け入れる能力。そして僕は全てを自分に届く事無く否定し、拒絶する能力。まるで……正反対だっ!」

「っ!! ———ガハッ!」

僕の体が宙を舞って壁にぶつかり転がる。

「三好君に対してこうやって能力を使えば、三好君がその場にいるという状況を否定し、拒絶する。結果キミはその場で存在を保てず、吹き飛ばされてしまうのさ」

「ぐ……ぅ……!」

「立ち上がるかい? こんなに力の差があるというのに?」

確かに、力の差はある。でも、僕がここで負ける訳にはいかない! 僕を信じてくれた仲間の為にも、僕は絶対にギブアップはしない!

「僕は負ける訳にはいかない! 信じてくれている仲間がいるから!」

「仲間……フフフ……」

「キミもそうじゃないのか? 仲間と共に能力者優位の社会を目指しているんじゃないのか?」

「フフフフフフ……フハハハハハハハハ!!! 実は言うとね、僕は彼らなんかどうでもいいし、能力者優位の社会なんてものもどうでもいいんだよ。ぁぁ……そういえば三好君は僕に違和感があるって言っていたね。彼らの前で暴露する訳にはいかないから、ずっと否定していたけど、キミの推測は正しいよ」

「……やっぱり、キミは何か別の目的を持っているんだね」

「そうだ。僕が戦うのは彼らの為でも、ましてや能力者の為でもない! 僕は彼女を救いたい! 彼女の為に僕は戦う! だが……彼女は……あろうことかキミを選んだっ!!」

あまりにも唐突に向けられた憎悪。全く身に覚えが無い。

「彼女が僕を選んだって、一体何の事だ?」

「キミが知らないのも無理はないか……だが、余計に解らなくなる……どうしてキミなんだ! 三好 祐!!!」

「話にならない! 一体何の事だ!」

「キミを否定し、キリエも否定する! 全てこの世から消し去って僕のものにする!! 式宮 アリスは僕が救う!!」

「式宮……アリス……だって?!」