複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照4000突破感謝! ( No.254 )
日時: 2016/04/10 21:46
名前: ユッケ (ID: PQ6W.j/M)

確か、音羽と一緒に帰った時、公園にいたあの女の子の名前がアリスだった。

あのアリスと同一人物かは解らないけど、僕が知っているアリスという名前は彼女1人だけだ。

「まずはキミを消し去る! その次はキリエだ!」

剣が否定と拒絶の能力を僕に向かって放つ! 間一髪、横に転がりながら見えもしない概念攻撃をかわす。

「くっ!」

起き上がって即座に剣に向かって電撃を放つ!

「否定する」

やはり電撃は彼に届く事無く消え去ってしまう。続けて重力!

「拒絶する」

剣の周りの地面は超重力の効力によりへこんでいるのに、彼自身は何ともない。ただ立っているだけ。

「うおおおおおお!!」

炎も、骨も、残骸をコントロールしてぶつけようとしても……。

「否定する。拒絶する」

何をしても届かない!

「どうにか攻撃を当てないと」

そうは言っても打開策が無い。全ての攻撃が否定され、拒絶される。

「キミの本気はこんなものか……なら、もう消えてしまえ」

否定と拒絶が僕にその牙を突きたてようと口を開ける。よけられないと判断し、特殊骨格でアーマーを作り防御する。

「っ!!」

特殊骨格のアーマーが粉々に砕け散り、僕はその場に片膝をついて倒れてしまう。

「キミじゃない……違うっ! 彼女を救えるのは僕だ! キミなんかじゃない!!」

「そんなの……僕は知らない……! 僕は僕達の為に戦ってるんだ!」

炎を剣に向かって放射する! 今回はただの放射ではない! 部屋を覆うように放射する!

否定も拒絶も限界があればこの物量で押し切れるはずだ!

しかもこれだけの炎が部屋を覆っていれば徐々に酸素はなくなり、部屋の温度がどんどん上がる! 直接でなくてもこれなら倒せるはず!

「ハハハハハ! 炎で部屋を覆って火災のような状態を作り出したわけか、だが、僕にそんなものは通用しない」

「ハァ……ハァ……」

「キミはこの炎で自分の首を絞めているだけだ。僕は全てを否定し拒絶できる。炎も熱も、僕が否定し拒絶すれば届かない」

「くっ……ハァ……ハァ……」

目の前が霞む……あれ? ……僕……こんなところで……なにをしてるん……だろ…………。

「終わりだ……」

体が宙に舞う……能力により吹っ飛ばされて、また床に転がる。床が熱い……意識がもう…………。












真っ暗な世界……体がどこを向いているのかも解らない……この世界を僕は知っている……何度も見てきた。何度もいざなわれた。この世界は現の間に終わり、すぐに忘れてしまう。

この世界は、僕と彼女の繋がりのようなものなのかもしれない……。

「お兄ちゃん。こんなにボロボロになっちゃって……私が助けてあげるね」

「キミが、式宮 アリス……」

「そう、私が式宮 アリス。ずっとお兄ちゃんを捜してた。ずっとお兄ちゃんを見てきた。天使の園にいた頃からずっと……」

「天使の園……それって凛人さんがいたっていう?」

「そう、凛人お兄ちゃんと同じよ」

「キミはいったい……何者なんだ……どうして僕を……」

「フフ……その話はまた今度、会った時に話すね。お兄ちゃん、お兄ちゃんは自分の能力を理解していない」

「うん? どういう事?」

「あのね……お兄ちゃんの能力は…………」













目の前が鮮明に明るくなる。世界が色を取り戻し、轟々と燃える炎を自分自身で消し去る。

「———!? まだそんな力が……ならばキミをもっと否定し、拒絶する!」

「…………」

体が吹き飛ぶ事も無い。否定も拒絶もされない。これが……僕の能力……どうしてずっと勘違いしていたんだ……。

いつから? 自分を騙すほどに勘違いを…………?

そうか……! 昔、能力学区に来る前の事……能力を使い過ぎ、周りの人を傷つけた。その時だ! この能力は“本当に危険だ”だから別の解釈、縛りをつけて思い込むようにしたんだ……“受けた能力を超能力として使う”なんて解釈で……。