複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照4000突破感謝! ( No.259 )
日時: 2016/04/19 00:36
名前: ユッケ (ID: aY9QY40m)

■王国との激突2■



三好 祐と現人神 剣が戦い始める少し前…………。

羽織部 準が、入口付近で三好 祐の仲間達の行く手を阻んでいる。とはいえ状況は9対1で圧倒的だ。

「この先には行かせへんで」

彼の能力。それは隆起。地面を隆起させ自分の後ろに壁を作る。

「そんな壁が何だっていうのよ。こっちは9人、アンタは1人、勝ち目は無いわよ」

「何の策も講じてへんとでも? ここは僕らのホームやで」

「クミさんはつり天井とか、鉄球が転がってくるとか、ダンジョン的な罠を希望します」

「キミなんか変な人やな!」

「あーー、コイツの事は気にしなくていいから」

「そうさせてもらうわ。いちいち相手してたらこっちが持たんわ」

確かに何か罠を張っている気配はある。それは全員が思っていた。王国の幹部クラスが、そもそもこんな勝ち目の無いような戦いを仕掛けるタマではない事は解っている。

だからこそ時間を稼いでいるのだ。静原 ナギサが気付かぬうちに透明になり、壁をすり抜ける時間を。

透明の超能力は物質をもすり抜ける特性を持つ。彼女の能力ならば誰にも気付かれる事なく、罠を作動させる事も無く壁を抜ける事ができるのだ。

しかしそれは、彼がいなければの話だ。

「何度も言わせるな、俺に透明能力は通用しねぇッてなぁッ!!」

「———! ぐあっ!」

壁の前から静原 ナギサがくの字に曲がってぶっ飛び、戻されて地面に転がる。

他でもない、九十九 神矢の能力によってだ。

「レェイラァアアアア!!」

「アンタもホントしつこいわね!」

「よっ! モテろしあん!」

「一乗寺! アンタから潰すわよ!」

「クミちゃんやめときなよ〜」

「怖いもの知らずでありますな〜」

これで状況は9対2、しかし数の圧倒的差は変わっていない。

「おふざけは終わりだ。さっさと終らせるぞ! 見ろ!」

羽織部 準に向けて、七咲 千香がライターに火をつけ、能力を発動させる。

「おおっと! 危ない危ない……足元とかな」

「———!? チィッ!」

千香の足元で蠢く影。須崎 灯護の影の能力だ。

「影なら!」

「私達に任せてください!」

赤菜とみよりが炎と電気で影を消す。すると須崎 灯護が地面から浮き出るように姿を現す。

「準が余計な事言うから……」

「すまんすまん」

「ナギサさん、大丈夫ですか?」

御影 鈴也が静原 ナギサを支えて起こす。

「ああ、すまない。大丈夫だ」

「大混戦の予感ですね」

「そうだな。だが、そうなればチャンスだ。隙を見て透過能力で壁を抜けるぞ」

「はい、三好先輩が心配ですからね」