複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ 参照4000突破感謝! ( No.262 )
日時: 2016/05/04 12:28
名前: ユッケ (ID: bKy24fC9)

透明化し、視認されないように通路を走っていく。

戻ってみると、御影 鈴也は床に突っ伏したまま動いておらず、真ん中に目立つようにしているところをみるに明らかな罠である事はすぐに解った。

(どこかに身を隠して様子を窺っているのだろう……先程の攻撃で私の能力はバレただろうし、彼を透明化した瞬間を攻撃してくる気か……)

ナギサが一歩踏み出す。そして鈴也に近付き、彼に手を伸ばす。

(来るなら来い! 私の能力は一筋縄じゃいかないぞ)

鈴也に触れ、透明化する。

瞬間、2人の周りから無数の青白い手が雪崩れ込むように押し寄せる。

(やはり来たか! だが———!!)

2人をすり抜けていく幽触。ナギサは鈴也を連れ、その場を離れようとする。2人が何とも無い理由、それはナギサの透明化能力の真髄にある。透明、即ち触れる事も許さない概念。

(……!? 手応えが無い! 逃げられる!)

土御門 錦が隠れていた部屋から飛び出す。しかし、そこには誰もいない。視認することも出来ない。彼はもう彼女に触れる事も出来ない。

「クソッ!! やられた!!」













王国アジト入口付近では、能力者達による混戦が繰り広げられていた。

「レェエエエエエイラァアアアアア!!!!」

捻じ曲がった空間がレイラに向かってうねり狂う。

「クッ! こっのッ!!」

「チィッ!!」

レイラが攻撃をかわし反撃すると、今度は九十九 神矢がレイラの超重力攻撃をかわす。

「うわっちゃ〜、その骨ホンマ堅いな」

ミクの特殊骨格を、隆起させた地面で弾く準。

「だぁーーー! ニョキニョキとうぜーぞお前!!」

「今度は足場や!」

「うわぁッ! とッとッ! ぐあッ!」

ミクの足場が隆起し、バランスを崩して転倒する。

「もろたで!!」

天井が隆起し、まるで柱が落ちてくるように真下にいるミクに向かって来る。

「うおおおおお!!」

隆起し向かって来る天井を特殊骨格の腕で掴み、速度を遅らせ、その間に横に転がり攻撃をかわす。

「七海、頼むから手伝ってよ」

影に潜れない須崎 灯護が、電撃や炎をギリギリでかわしながら隅っこで震えている榎原 七海にSOSを送る。

「だって〜! 足震えて立てない!」

「能力者優位の世界作るんでしょ? 七海、彼氏の事忘れたの?」

「っ!! 忘れてない!! 忘れたりなんかした事無い!!」

「じゃあ頑張って」

「とらせてもらうぞ! 見ろ!!」

「っ!! しまっ——」

千香のライターが火を灯し、眼光が灯護を捉える。感情増幅。生物が本能的に怖がる火を見せる事によって、芽生えた小さな恐怖を増幅させる。

「させないッ!!」

「何っ!?」

「サンキュ七海」

千香のライターの火が消え、灯護に掛けられた感情増幅が解ける。

「これは……水か?」

消えたライターに付いているのはただの水。なぜ水が? 答えは榎原 七海が持っている玩具の銃にある。

彼女が持っているのは水鉄砲。そして、彼女の能力は水流操作。

「なるほど、威力もコントロールも自由自在というわけか」

「つ、次は当てるわ! バジリスク!」

「やる気になったか……いいだろう、やってやる」