複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ ( No.3 )
日時: 2015/02/15 21:50
名前: ユッケ (ID: WdWwmA38)

■夕暮れの公園■



「三好君って、超能力者だよね?」

あまりにも核心だった。的確だった。図星だった。

僕は、超能力者だ。

夕暮れの公園で、僕は何も答えられずにいた。昼でも夜でもない、どちらでもない場所に僕の心もある。

今更引き返せない、ほんの数秒だとしても、もう充分な時間が経ってしまった。超能力者であることを否定するにはもう遅い。でも、言えない。言いたくない。

僕は、僕が超能力者であることを認めたくない。だから、答えられなかった。

「なんで……なんで、そう思ったの?」

やっと言葉に出来たのはそんな質問。質問されてるのは僕だ、なのに……僕は、ズルイ……。

「えっと、ちょっとだけ先輩に協力してもらったの。それに、私たちの学校で無能力者って、三好君だけでしょ?」

「じゃあ! 僕が超能力者だとはならないと思うけど」

「ん〜、もっと正確に言えば、三好君にはもう1つ決定的な特徴があったの。……三好君ね、噂の超能力者の落ちこぼれ、じゃないかな?」

「っ!?」

バレてる! ずっと隠してきたのに、簡単にバレている……!

「私の先輩は、“能力が無い超能力”つまり超能力者なのに能力が無い。つまり無能力者。だから落ちこぼれなんじゃないかって推測を立てたの、東能力学区にいるらしいことも分かってたから、私たちの学校でただ一人の無能力者、三好君に最初に白羽の矢が立ったの。そしたら……」

「一発ツモってわけか……」

「ツモ?」

「えーっと、ビンゴ!」

「あー、なるとく!」

「なるとく?」

「なるほど、なっとく!」

「へー、なるとく」

さて、もう色々バレちゃってるし、どうしようか……

「ねぇ、三好君……私、お話があるの」

「え! 超能力者かどうかの確認じゃなくて?」

「うん、あのね、三好君さ、本当は能力使えるでしょ?」

「……それも?」

「ごめん!先輩に頼んで確認してもらったの」

実際にバレてしまっているのだから、その先輩というのは本当に恐ろしい人だ。僕は能力のことや噂のことを口に出してはいない。だとしたら……あーやっぱやめ!恐すぎる!

「あの、えっと……ここからが、本題……なんだけど……」

あらためて真っ直ぐ見つめられる。次に千年さんが言葉を発するまでの時間は、とても長く感じられた。彼女は何か重要なことを言おうとしている。そんなことは目を見れば分かった。

「私のお兄ちゃんを捜してほしいの!」