複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ ( No.30 )
日時: 2015/02/26 22:44
名前: ユッケ (ID: s7P63baJ)

タトゥーが赤菜に迫っていく! なんとかしなきゃいけないのに!

「捕まえたぜぇ!!」

「イッテ! 離せ!」

抵抗する赤菜がタトゥーに炎をぶつけまくる。

「炎は効かねぇよぉお!」

「赤菜ぁああああああ!!」

助けようと走るが、脚力強化の金髪が回り込んでくる!

「逃がさねぇぞ! ウラァア!」

殺人キックが僕をかすめる! 蹴りの速度が普通じゃない! 直撃しないのは幸運なのかも。

「オラァ! こっちも!」

側面から投げつけられる石! 蹴りをかわした直後で体勢的にかわせない! 辛うじて顔と頭を守るが、腕が腫れ上がり、もう限界だ。

「くっそ! 離せ! このっ!」

「ぁあ? もう抵抗すんなよ! っぜーな! 腕折っちまうか…!!」

「なっ!? ぐ! ァ…ァ!」

タトゥーが赤菜の腕を曲げていく…!

やめろ! 赤菜は一生懸命練習してたんだ!

ダンスは足だけじゃない、腕も動かす。

「くっそぉ! やめてくれ! 折るな…ぁ…ガァア!」

能力…僕が能力を使えば守れるはずなのに! 僕はまた迷っていた!

迷うな…恐れるな…僕には居場所がある!

赦してくれた仲間がいる!!

「赤菜から手を離せ!」

脚力強化の超能力でタトゥーまで飛ぶように走る!ほぼ瞬間移動に見えるだろうスピードだ!

補足しておくと、僕の能力はストックが利く、他人の能力を失うのはタイムリミットが設けられているようで、1つにつき1時間。

「離せって言ってるだろ!!」

「はぁ!? お前一瞬で———」

物質硬化の超能力で、文字通りの鉄拳制裁! 拳の硬さはさすがに危なくないように調整した。

しかし一発KOなのは間違いない。タトゥーはのびて倒れた。

「テメェ!」

「よくもやりやがったな!」

残った鼻ピアスと金髪が僕に向かって突撃してくる! …のだが、動きが急に重くなり、地面に手をついて呻いている。

「なん…じゃこりゃぁ!」

「体が…重てぇ…!」

一体何が起こっているんだ? 僕にも分からない。

「祐…何が起こってんだ?」

「僕も分からない…」

雲に隠れていた月が闇を照らす…見えたのは美しい銀色の髪…ファンタジーの世界のような幻想的な雰囲気を感じる。

「チンピラ…その場でジャンプしなさい…」

鼻ピアスと金髪を見下ろすように、冷たい目を向ける銀髪。

そこまで近付いてくれば姿が見えた。銀髪の長い髪、少し米系の顔をしている少女。僕達と同じくらいの年齢。

「聞こえなかったの? ジャンプしなさい、そうしたら開放してあげる」

なすすべが無いピアスと金髪は重たい動きで足に力を入れてジャンプする。

「よくできました…じゃ、そのまま大気圏まで飛ばしてあげるわ」

ジャンプしたピアスと金髪がフワフワと浮いてどんどん地上から離れていく!

「これって…無重力?!」

僕は思ったことを口に出していた。

「あら、察しがいいわね。“重力操作”これが私の超能力よ」

「超能力!?」

僕以外の超能力者…初めて出会った…。

「オルァア! 早く降ろせ!」

「地面が遠くなっていくぅうううううう!」

「あ、忘れてたわ。いいの? その高さなら骨折するわよ?」

「骨折でいい! 死ぬよりゃマシだ!」

「助けてくれぇええええ!」

「ま、死ぬかもだけどね」

恐らく通常の重力の2倍の重力をかけたのだろう…ピアスと金髪は思いっきり地面に叩き付けられ、気絶した。