複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ ( No.31 )
- 日時: 2015/02/27 13:24
- 名前: ユッケ (ID: s7P63baJ)
「ありがとう、助かったよ」
「礼はいらないわ。途中見てたけど、アンタなんで能力使わなかったの? アンタ一人で全滅させられたはずよ? 赤毛の彼女は危うく腕を折られかけたわ」
何も言えない、弁解の余地も無い。僕が迷ったせいで赤菜が危険な目にあった。
「も、もういいぜ。アタシは怪我もしてないし、こいつらも」
そういえば赤菜の後ろに女の子が二人。
「せ、先輩方。危ない所を助けて頂き、ありがとうございました」
そう言って中学生くらいの女の子がお辞儀する。
「どうもでした。クミさんは九死に一生を得ました。アーメン」
もう一人は、背は少し低いが年齢は僕達と同じくらい。表情がほとんど変わらない子だ。
「僕は三好 祐。こっちが緋色 赤菜」
「よろしくだぜ!」
「はい! 宮本 みよりであります!」
「一乗寺 クミです。グミとか言ったやつはゼラチンで窒息させる」
「ハハハ、気を付けるよ…」
「で? アンタの名前聞いてなかったな。っとその前にアタシも、助けてくれてありがとう!」
そう、もう一人名前を聞いておきたい人物がいる。銀色の髪の超能力者。
「だから、礼はいいっての。私はレイラ。ロシアの血が流れてるからアジア人には見えづらいかもね」
「あー、それで銀髪なんだ」
「プラチナブロンドと呼びなさい!」
「ご、ごめんなさい…」
フン、と鼻を鳴らしプラチナブロンドの髪をなびかせる。
「そういえば、何で公園に皆がいたの? 僕は赤菜の練習が気になっただけだったんだけど」
「アタシは練習。夢中になって、すっかり遅くなっちまった」
「不肖、宮本は捜し物であります!」
「クミさんはUMA捜しです」
クミさん、真面目なのか冗談なのか?
「そこの中学生、宮本だったわね。捜し物ってコレでしょ?」
レイラがポケットから出したのは小さな髪飾りだった。
「おお! それであります! ありがとうございます! これで……ジャーン! パーフェクト宮本! ここに再臨であります!」
髪飾りで髪型をツインテールにしてポーズを決める。なるほど、普段はツインテールなんだ。
しかも、ツインテールがピコピコ上下に動いている! 不思議だ! ピコピコ動くソレはもう耳にしか見えない。兎みたいだ。
「スゲー、どうやってんだ? それ?」
赤菜が興味津々だ。
「実は宮本は、“電気を操る超能力者”なのであります!」
「なるほどー、静電気で髪を動かしてるんだねー———ってぇえええええええええ!?」
「宮本も超能力者なのね、驚いたわ」
いや、冷静に見えますけど!
「あーでも、超能力なんですけど、使いこなせていない…というか、制御できていない…といいますか…実質“強能力”程度にしか発現させれてないらしいです」
「超能力者だけど、強能力者…か」
「ピコーン! UMA発見じゃーーーーー!」
クミが急に大声を出す!
「びっくりしたぁ〜、どうしたの?」
「フッフッフ、クミさんは噂話が超好きです。クミさんが追っていたUMA、それは……“超能力者の落ちこぼれ”!!」
ビシッっと指差す先は宮本ちゃん。突然のことでまた怯えてしまった。さすが兎。
いや、待てよ…“超能力者の落ちこぼれ”って僕じゃないか?
クミは何を勘違いしてるんだ…しかしバレなくて良かったぁ〜。
……いや、よく考えろ。
宮本ちゃんは超能力者だけど強能力者。
超能力が使えるはずなのに、実際は強能力程度の力しか出せていない。
つまり……超能力者の落ちこぼれって宮本ちゃんじゃないのか!!