複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ ( No.34 )
日時: 2015/03/01 15:48
名前: ユッケ (ID: lQwcEz.G)

■ダイアの心■




昨日起こった事件や出会った人については音羽に話した。

赤菜に僕の能力を教えたことも、僕以外の超能力者に出会ったことも。

学校の帰り道、念のため今日も音羽を送っていく。

「さすがにナンパ三人組も懲りたと思うんだけどね」

「そうだね。もう悪さなんてできないかも」

ちょうど公園の前、チラッと確認……いないな。

これで一安心かも、ナンパ三人組も懲りたのだろう。

公園を通り過ぎようとした時、誰かに呼び止められた気がした。

「ちょっと待ちなさい。三好」

振り返ると印象深いプラチナブロンドが風に揺れていた。

「レイラ!? どうしたの?」

「この人がレイラさん? は、はじめまして! 千年 音羽です!」

「よろしく、まさか三好に彼女がいるとは思わなかったわ」

「ぶふっ!?」

「ちちちちちが、違うの! おおおお送ってもらってるだけで! 私、かかか彼女じゃないです!」

「違うの? まぁいいわ。三好に話があるんだけど」

「え? 僕に?」

「そうよ、ちょっと来なさい。千年も来るなら来なさい」

そう言われて僕と音羽はレイラと一緒に公園の中に入る。

「宮本は超能力者の落ちこぼれだと思うわ。超能力を持ちながら、実力が伴わず強能力者に成り下がってる。私は、三好も同じだと思うわ。アンタも“超能力者の落ちこぼれ”よ」

「何の話?」

「アンタは能力を使わない。ただの無能力者よ。落ちこぼれで当然だわ」

「……僕は、多分これからも簡単にこの能力を使わないと思う。僕は、落ちこぼれでいい」

「アンタね……超能力なのよ? 日本の上位10人に入るのよ? 誇りはないわけ?」

「僕の能力は周りを傷付けてしまう。他人の才能を喰らい尽くしてしまう! 多用は出来ない」

「ハンッ! 周りを傷付ける? 才能を喰らい尽くす? 当然でしょ! 私達超能力者は天才なの! 無慈悲に、無自覚に、他の才能を殺す! 努力では超能力者にはなれない! 私達は才能の頂点にいるのよ! それを自覚しなさい!」

「レイラの狙いが見えてきたよ、僕に能力を使わせたいんだね? 同じ超能力者として僕が許せないんだね?」

「そうよ、で…使うの? 使わないの?」

「使わない! 僕は落ちこぼれでいい!」

「…それがアンタのダイアの心ってわけね。いいわ、分かったわ」

「レイラ……ありが———」

「ぶっ壊してあげるわ!!!」

突然かかった体験したことも無い超重力に体が耐え切れず、地面に突っ伏してしまう!

体が地面にめり込む! 口を切ったのだろう、血と土の味が口に広がる。

体を動かすことが出来ない、骨が軋む……死ぬ!