複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ(オリキャラ&コメント募集) ( No.39 )
日時: 2015/03/08 01:39
名前: ユッケ (ID: 5G1Y6ug9)

「祐は……スゲーと思う」

二人だけの病室、赤菜がポツリと言った。

「どうしたの?」

「アタシは、能力が何かなんてまだ分からない。祐は少なからず答えを出しただろ? その上超能力者だ。敵わねぇよ」

赤菜が普段見せない弱気な姿に、あの日の夜を思い出す。

夢と才能が一致しない…赤菜が明かした悩み。

「あーあ! ダンサー目指すんなら身体強化系の能力だよな〜、なんでダンサー目指してるんだろアタシ…」

「赤菜……ダンス楽しくない?」

「楽しい! 楽しいよ! でも楽しいだけじゃ夢は叶わない」

赤菜は言葉の最後に顔を伏せてしまった。

いつもは太陽の炎のように赤く熱く魂を燃やす赤菜だが、今は蝋燭に燃える吹けば消えるような炎だ。

「赤菜、確かに楽しいだけじゃ夢は叶わない。でも、楽しいって大事な事だよ! それに、能力がイコールで夢なんかじゃない!」

「でも! その方が———」

「楽じゃないよ! 夢を叶えるのは赤菜自身だ! それに、何も身体強化系の能力だけが有利ってわけもないさ、能力なんて使い方次第。才能を生かすも殺すも、結局は自分次第なんだ」

僕は今回学んだ。才能を生かすも殺すも自分次第。昔の自分と今の自分では、能力の使い方は変わったはずだ。

意味のある使い方をする。それが僕の新しいダイアの心。

「自分…次第……」

「そうだ。自分次第だ! よく言ってたろ? 赤菜のダンスは…」

公園で楽しそうに踊る赤菜を見た時から、好きだった。あの言葉。

楽しさとか、熱意とか、赤菜らしさとか、そういうのが沢山詰まったあの言葉。

「赤く燃えるぜ!」

赤菜はいつもの笑顔で言った。

「途中、躓いたら僕がいる。僕は赤菜を応援してるし、尊敬してる。それに、夢の叶え方って、1つじゃないよ。能力と夢が一見一致してなくても、きっと叶える方法はある!」

「ああ、そうだな! アタシが勝手に諦めてちゃ可能性も無くなっちまう! そ、それに…祐が…いてくれるなら…」

「あれ? 顔赤いよ? 部屋が暑いのかな?」

「あ、ああああ赤くねぇよ!」

「え? でも…」

「ほんと! ほんとに! 赤くないから!」

「リア充は爆発…しない! と思わせて爆発しろーーー!!」

「何で一瞬安心させたの?!」

「ク、クミ! 脅かすなよ!」

「あわわわわ、駄目ですよぅクミ先輩! せっかくいい感じだったのに〜」

「祐…なんか分かんないけど、一発殴らせて」

「みより! 音羽! って、待った! わかんない! 状況がイマイチ飲み込めない! 音羽ストップ! 怪我人! 僕怪我人! 最近の音羽はバイオレンス過ぎるよーーーー!」

「問・答・無・用!」

「ギャーーーーーーーー!!」

「銀髪ロシアンティーンに危うくミートパテにされかけたのも束の間、今度はバイオレンスヒロインによる鉄拳制裁だ! 罪な男よ、ゲッヘッヘ」

「クミ先輩、なぜに窓の外に話しかけてるでありますか?」

「単なる演出です」

「僕の入院期間、延びそうです……」