複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ ( No.4 )
日時: 2015/02/16 23:35
名前: ユッケ (ID: WdWwmA38)

■僕は使えない■



「千年さんは、僕の能力が何なのか知っているの?」

「ううん、知らない。先輩も分からないって言ってた。普通の能力なら、大体の感じは解るらしいんだけど、三好君の能力はなぜか解らないって」

やっぱり、僕の能力は普通じゃないってことか、そう……普通じゃない。こんなのは能力じゃない。

「ねぇ三好君!一緒にお兄ちゃんを捜して!お兄ちゃん……危ない所にいるらしくて、ただの能力者の私じゃ捜せない」

「警察に届けてないの?僕なんかに頼むより警察に行った方がいいんじゃないかな?」

「……ごめん、これは私のワガママ。お兄ちゃんね、帰ってこないけど時々連絡が来るの、……絶対警察には行くなって、大丈夫だからって……お兄ちゃん、きっと脅されて……!」

泣き出しそうな千年さんの表情に、どうしたらいいのか分からなくなる。

僕は超能力者だ。その超能力を頼って僕に近付いたのだろう。だけど、僕は能力を使いたくない。使えばまた大事なものを失いそうで……。

僕は無力だ。僕は……使えない。能力も、僕自身も……。

「僕は……能力は使えない」

千年さんは黙ったままだ。

「ごめん……」

「……ぃ……おね…がい……助けて……能力使わなくて……いいから……一緒に……きてぇ」

違う!千年さんは超能力だけを頼ってきたんじゃない!

一人じゃ寂しくて、不安で、孤独で、怖くて、泣きそうで、押し潰されそうで……頼ったんだ!

僕は、なんて思い違いをしていたんだ……!

「分かった。一緒に捜そう、お兄さん」

「三好君っ……ぁりが……とう……!」

こうして僕の激動のゴールデンウィークが始まった。