複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ(オリキャラ&コメント募集) ( No.56 )
日時: 2015/03/11 20:36
名前: ユッケ (ID: 7POxSCHv)

クミが目を閉じる。きっと今、まさに人格の主導権を渡しているのだろう。

漫画とかアニメでよくある。

部屋の外へか、光の輪の中へか、人格の主導権の明け渡し、立ち退き。

交代の瞬間にハイタッチを交わすような友好的な関係ではないだろうけど。

代わる———!

クミであってクミでない、別の人格に……代わる———!

ハッ! と目が覚めたように目を開く“彼女”

雰囲気が…違う……ピリピリした感じ、少し感じた事のある感じ…これは……恐怖だ。

バジリスク……彼女と初めて目が合った時に感じたものと同じだ。

クミでない彼女は体を適当に動かしている。

指、手首、肩、足、肘、首、関節を動かして確かめている。

「チビなのが残念だが、悪くねェ。馴染んできた」

喋り方が全然違うな……相変わらず口は悪そう。こっちは正統派、クミは……奇怪派?

そんなことは置いておいて…さて、どうするか…まずは挨拶。

できれば穏便に済ませたい、友好的な関係を築くにはまず挨拶から、いきなり真珠湾なんて余裕の無い帝国がすることだ。

「はじめまして、三好 祐です。キミがクミの別の人格だね?」

「ん? あァ、そうなるな。“アイツ”から聞いたのか、私の事を知っているってことは……」

「そう。全部聞いてる。キミがクミの能力で生まれた別の人格だってことは知ってる。早速お願いがあるんだけど、いいかな?」

「なんだァ急に、馴れ馴れしいやつだな。一応聞いてやるよ。言え」

「クミと仲良くしてほしいというか…共存してほしいというか…」

「あァ…そういうことか…それであっさり渡したのかアイツ……ホレ!」

そう言って差し伸べてきたのは手だった。

……ということは、交渉成立?!

やけにあっさり! 願ったり叶ったり!

「ありが———」

僕が出した右手が空をかすめる。

彼女は差し伸べた手をすっと引っ込めて親指を下に…。

“ダメ”のサイン!

そして気付けば、影…!

太陽の光を遮り、彼女の背後から現れたのは……白い何か…。

なんだ…あれ…でも、見たことある……そう…本か何かで…。

二本の白い棒の真ん中は間隔が空いていて向こうが見える。

その上では白い塊が点々と…そこから更に枝分かれしたような五本の棒!

間違いなく…手の骨格!!

「うわぁああああ!!」

振り下ろされた巨大な手の骨格に潰される!

見るもの全てを畏怖させる!

中身! 人間のパーツ! 本性! 偽り無き人間の本当の姿———!

「ほ…骨!? が、骸骨!?」

声が震える…! 今まさに僕を押し潰しているソレは、間違いなく骨!

怖い! 冷たい! 当たり前のように体が震える!

感じる…死を!

「キハハハハハハハハ!! 主導権を渡したのはアイツのミスだなァ! 私はこれで自由さ! キヒヒッ! 暴れたくてしょうがなかった! オラァ! 立てよ! オメデトウ! お前が私に殺される第一号だァアアアアアアアア!」