複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ ( No.6 )
日時: 2015/02/18 02:40
名前: ユッケ (ID: WdWwmA38)

「はぁ…はぁ…あれ? 三好君、もう先輩と仲良くなってる?」

千年さんは呼吸を整えながら僕達を見渡す。

少し残念そうなのは、僕に二人を自分で紹介したかったのだろう。それほど自慢の大切な先輩なのだろう。

「うん、東雲先輩も城戸先輩もいい人達だよね」

「えへへ」

「なんで音羽ちゃんが照れてんのさ〜」

「フフフ、さぁて! 皆揃ったことだし!」

東雲先輩が僕らを見渡しながら言う。僕達が集まった理由は千年さんのお兄さんを捜しだすことだ。大丈夫、この4人なら…きっと見つけられる!

「一緒にお昼を食べましょーーー!」

こけた……皆こけた。

東雲先輩は「どうしたの皆? 大丈夫?」と不思議そうだ。

聞けば、東雲先輩と千年さんはお昼を食べてきていないらしい。音羽に至っては寝坊で慌ててここに来た為、お昼を食べ損ねたらしい。

「せっかくだから、皆でお昼食べたいな〜と思ってね。さ、行きましょ!」

半ば強引ではあるけど、まぁ腹が減っては何とやら…いや、お腹いっぱいなんだけどね、半数が腹ペコなんじゃあしょうがないっか。

僕達は適当に開いてる店へ入った。とても雰囲気のいいレストランだ。

女子チームはランチを、男子チームはコーヒーと少しのサンドウィッチを注文。しかしここからが地獄だった。お互いについてまだ全然知らない僕達は、お互いに質問をし合うのだろうと思っていたのだが……。

「「「で、三好君の超能力ってどんな能力なの?」」」

3対1でした。

「言えません。そもそも僕は、どんなことがあろうと、僕は能力を使おうとは思ってませんから!」

「えー! 気になるな〜」

「確かに気にはなりますけど、三代目は超能力見たことあるでしょ?」

「そうだけど〜、噂の超能力者よ? 気になるじゃない?」

「そ、そういえば…千年さんの能力って僕知らないや」

話をなんとか僕から逸らさなくては!

「えっと、私の能力は、コレ」

とテーブルの上のナプキンをチョンと触る。すると、折り紙でよく見るような鶴が出来上がった。

どうやら造形が能力のようだ。

「簡単なものなら触れば作れるよ! 形を変えるだけだから、このフォークをスプーンに変える事は出来るけど、フライパンにするのは出来ないの。“能力者”の私に出来るのは、ナプキンで鶴を作るみたいに、簡単なことだけ」

面白い能力だな〜。きっとそれが千年さんの中に眠っていた才能なんだね。

「あと聞いてないのは、東雲先輩ですね。一体どんな能力なんですか?」

「もう、三好君。自分だけ秘密なんてズルイわよ〜。まぁ、隠す必要もないから、いいんだけどね。私の能力は氷を作る能力よ。コーヒー冷やしてあげよっか?」

「いえ、遠慮します」

「しかも、三代目は大能力者だから、その力もスゴイからね〜。例えば、コーヒーという媒体がなくても、空気中の水分を使って氷を作れるのさ。人間大の氷も作れるよ〜」

「ちょっとロック、喋りすぎ」

そんなこんなで、ランチタイムは終了した。あまり長々と喋っていても意味はないし、お会計を済ませた僕達は千年さんのお兄さんの手掛かりを捜しに、街へと繰り出した。