複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ(500参照突破感謝!) ( No.71 )
日時: 2015/03/21 01:54
名前: ユッケ (ID: cHp/tugs)

■今回の一件の後日談■



医者にはコテンパンに怒られてしまった。

骨にヒビを入れた人間が退院後すぐに、脇腹に穴を開けてまた入院するのだから、医者からすれば呆れて物も言えないだろう。

3針縫って2,3日の入院を余儀なくされた僕の病室に、まさしく珍しい珍客が訪れた。

「Здравствуйте(こんにちは)。どう? 調子の方は」

「レイラ!? 久し振りだね」

「案外元気そうね。今回の一件、一乗寺から聞いたわ。超能力者としての自覚はもう芽生えたかしら?」

「そこまでが計算?」

「まさか、私はただ三好に腹が立っただけよ。今度は本気で潰してあげるわ」

「堪忍して〜」

そうこう話していると、ひょっこりクミがお見舞いに来てくれた。

「おや、銀髪ロシアンもお見舞いですか」

「プラチナブロンドと言いなさいと何度も言ってるでしょう!」

ご自慢の髪の様子。

クミさん、そろそろ言ってあげて、プラチナブロンド。

「プ…プラレルロロ…プロレラリアペロレロ!」

ワザとだ……! 絶対にワザとだっ……!!

しかももっと言いにくくなってる!

「アンタねぇ〜! 病室じゃなきゃ潰してるわよ!」

「クミさんに過重をかけると液体となって分散するので、重力効きません。クミさ〜んスライム!」

「クミさんスライム!?」

「セクハラ超能力者さん、騒ぐと傷が開きますわよ」

「ぐぬぅ! 別人格さんめ……!」

とまぁ、こんな感じで、クミは元気です。

相変わらずの口撃は超能力者二人を相手に圧勝圧倒!

口では絶対に敵わないのであった。

加えてたまにミクがサポートに入る万全の体勢。

眠れる獅子を起こしてしまったようだ。

兎にも角にも、二人とも上手くやってるみたいで良かった。




そうそう、もう1人、触れておかなければいけない人物がいる。

別人格さん。彼なくして今回の成功は無かったと言える。

クミをベンチに寝かせたあと、僕とすぐに交代してしまった。

「いいの? まだ時間はあるし、クミが戻ってきたら“おかえり”って言ってあげればいいんじゃない?」

「それはお前が言ってやれよ。それに、これ以上は未練が残る。いいんだよ、これで……俺は消えなくちゃいけないから、クミにとって俺は変態さんで充分さ、鼻から殺虫剤も怖いしな!
……これは、消える前にお前に言っておきたい事だが、超能力者って言っても何でもかんでも救えるわけじゃねぇ…神でも聖人君主でもねぇしな。所詮はヒトだってこった!
じゃあな! クミ泣かせたら化けて出てやるからな!」

そして彼は自ら消えていった……。

彼自身の未練と、僕の罪悪感を引き連れて…。

正直、僕は罪悪感でいっぱいだった。目的の為だけに生み出してしまった別人格。1時間というタイムリミット。僕は、とても酷い事をしているのではないかと思っていた。

超能力者も所詮はヒト。

全てを救うことは出来ない。

でも、それでも僕は……全てに手を差し伸べていたい!

超能力者だから?

いや、きっと……

無能力者で、超能力者な








落ちこぼれだから…かな。