複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ(500参照突破感謝!) ( No.77 )
- 日時: 2015/03/23 12:22
- 名前: ユッケ (ID: qeFyKwYg)
僕らは会場の中に場所を変えて少しお話することにした。
ゴールデンウィーク以来、久々に会えたのが嬉しかった。
東雲先輩は他のスタッフにその場を任せて、一緒に会場の中へ。
「この会場もシノノメグループが作ったのよ」
シノノメグループ。
言わずと知れた東能力学区1の大手企業グループである。
その企業活動は東能力学区だけに留まらず、他4つの能力学区でも勢力的に活動している。
家電、建築、製薬、人材派遣、農業、デパート、化粧品、広告…etc。
数え切れない会社がシノノメグループの傘下だ。
「そうなんですか! じゃあ東雲の三代目って事は…」
「ええ、時期当主として今は経験を積ませてもらっているわ」
サラッと言った。時期当主って、先輩はまさしく。
能力学区表舞台の超大物だ。
「東雲先輩ってそんなに凄い人だったんだ!」
「音羽も知らなかったの?!」
「中学の先輩後輩だっただけだよ。私が一方的に甘えて、相談にのってもらったりしてた」
「中学が一緒でありますか? 東雲先輩はもっとお嬢様学校かと思っていたですよ」
「ふふ、お父様が許してくれたのよ。どんな環境でも努力の価値は同じだって、だから普通の学校に行けたの。素敵な先輩も素敵な後輩もできたし、よかったと思っているわ」
「えへへ、お兄ちゃんも早く出てきて、東雲先輩に謝らないとね」
「慎也さんは元気?」
「はい、元気です。祐のおかげで早めに出してもらえそう」
「そうなんだ! よかった」
激動のゴールデンウィーク。
僕達は行方不明の慎也さんを捜して街を駆け回った。
途中、能力学区の闇も覗いた……バジリスク…漆黒の少女は闇に消えていった。
騒動の中心にある薬物パワーは、解析は出ているが、出所は分からず、今も警察が捜している。
それに、パワー絡みの事件が頻発している。
無能力者が能力を手に入れる事が出来る薬物。
無能力者と能力者、広がる格差に投じられた毒は今も死神のようにその大鎌を振るっている。
「あら、いけない。そろそろ時間よ。皆楽しんで行ってね! それじゃ、仕事に戻るわ!」
そう言って東雲先輩は会場を出た。
「僕達も行こうか」
「オー! であります!」
「楽しみだね」
僕達は空いている席に並んで座り、イベントの開始を待った。
暫く待っていると、MCが登場し、開催を宣言した。
「それでは皆さん! 大変お待たせしました! これより熱いダンスイベント、EVOLVE(エヴォルヴ)を開催いたします!!」