複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ(500参照突破感謝!) ( No.79 )
日時: 2015/03/23 17:10
名前: ユッケ (ID: qeFyKwYg)

MCの合図と共に大音量の音楽が流れ、最初のダンサーが3人、ステージの下から飛び出した!

トースターというのを聞いたことがある。ステージの仕掛けで、床下から人間がバーン! とジャンプして出てくるアレである。

飛び出すタイミング、その後にすぐにダンスに移るようにする技術と筋力が必要とされる。

それに、普通のステージにトースター装置は無い。シノノメグループ恐るべし!

あまりのインパクトと大仕掛けに観客もより一層盛り上がる!

こうした一体感がイベントの醍醐味だ!

3人のダンサーが曲に合わせて踊る! そしてステージの両脇から2人ずつダンサーが合流する!

僕達から見てステージの左側から、赤菜は登場した。

「せんぱーーーい!!」

「赤菜ちゃーん! カッコイイーーー!!」

なるほど、ダンスグループなのだ。

赤菜はダンスグループに所属していて、その中で頑張っていたのだ。

能力の劣等感を感じながらも、努力することで、必死にしがみついていたのだ。

僕は彼女の涙を知っている。

僕は彼女の心を知っている。

僕は彼女の汗を知っている。

僕は彼女の夢を知っている。

だから叫んだ! 立ち上がって思いっきり叫んだ!

「赤菜ぁあああああああ!! 最高にカッコイイよぉおおおおおおおおお!!」

赤菜は踊りながら僕にウインクした。

「おお! 先輩のボルテージがオゾン層突破であります! 赤菜先輩の弟子として負けられませんよぅ! せんぱーーーい!! ファイトー! であります!」

こうして会場の熱気は最高潮に達し、ステージは最高のものとなった。





イベントが終わり、興奮冷めやらぬ中、僕達は赤菜が楽屋から出てくるのを待った。

「あれ? 皆どうしたの?」

東雲先輩だ。後片付けの途中かな?

「今日のダンサーの中に僕達の友達がいるんです。それで、楽屋から出てくるの待ってます」

「そうなの……イベント大成功だったし、お礼も言いたいから、私も一緒させてもらっても良いかしら?」

「もちろんですよ!」

「あ、赤菜ちゃんだよ! おーーい! 赤菜ちゃーん!」

赤菜の姿が見えた。あんなに踊った後だというのに、元気に走ってくる。

「皆サンキュー! お陰でバッチリ踊れたぜ! …ん? そっちのお姉さんは? 知り合いか?」

「はじめまして、本イベントの企画考案を担当させて頂きました。東雲 三代です。ミヨちゃんって呼んでくれていいからね?
今日はありがとうございました。おかげでイベントは大成功です」

ミヨちゃんのくだりは毎回やるのだろうか? …と僕と音羽とみよりでヒソヒソ。

「ええ! 東雲さん!? きょ、今日は私達に踊らせてくれてありがとうございました! お役に立てたなら光栄です!」

「ええ、あなた達で本当に良かったと思っているわ! 最高のステージだったわよ!」

「ありがとうございます! 皆にも伝えておきます! きっと喜びます!」

「赤菜、お疲れ様」

「祐…サンキュな、正直プレッシャーとか劣等感で押し潰されそうだったけど、祐のおかげで吹っ切れた」

「赤菜ちゃん凄かったよー!」

「せんぱーい! 不肖宮本も先輩を尊敬するであります!」

「おう! 私のダンスは赤く燃えるぜ!」